研究課題/領域番号 |
22K21263
|
研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
彦坂 幹斗 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (70966051)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
キーワード | パラスポーツ / 車椅子 / 脊髄損傷 |
研究実績の概要 |
本研究は、脊髄損傷者がパラアスリートとして残存した身体機能を駆使することで、どのような運動制御の適応・学習を獲得するのかを明らかにすることを目的とする。2022年度は、独自開発した車椅子シミュレーターと三次元動作解析システム、筋活動電位計測を統合した、包括的なデータ計測システムを構築させた。この計測システムを利用して、実際に、車椅子陸上競技者の6名の車椅子レーサー駆動動作を計測・解析した。T51-T54の4種類のクラス分けに属する計測対象者がそれぞれ含まれていることから、障害レベル(クラス分け)に応じた、車椅子レーサー駆動特性を比較検討した。計測データから、障害レベルが低いほど、駆動期に効率的に力を加えている傾向を確認した。また、競技レベル間で比較したところ、競技レベルが高い対象者ほど、効率的な体幹、上肢の運動連鎖を活用しているこが分かった。これらのデータは、現在取りまとめの作業を行っており、2023年度に国際学会にて発表予定である。 車椅子レーサー駆動動作の対照条件として、11症例の日常使用車椅子駆動動作の計測も行った。駆動トルクは、胸髄損傷者よりも頸髄損傷者の方が小さくなり、損傷高位が高くなるほど、駆動トルクは小さくなることを明らかにした。また、損傷髄節に応じて、動員できるすることができる上肢の筋活動を明確にしたことから、脊髄損傷者の上肢の残存運動機能を評価手法として有用であることを示した。これらの研究成果は、国内で学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ計測に伴う移動や日程調整が困難だと思われる車椅子陸上競技者の6名の計測が出来たこと。さらに、得られたデータは、現在取りまとめの作業を行っており、2023年度に国際学会にて発表予定である。以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、車椅子陸上競技者の10名を追加で計測することを目指す。4つの障害レベル(クラス分け)に対して、4名づつのデータを収集することで、クラス内での駆動原理を探り、クラス間での比較をさらに強化することを目指す。さらに、計測データをとりまとめ、国際学会誌への論文投稿を目標とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、新型コロナウイルスの影響により、想定していた人数の実験参加者を確保できなかったため、必要な物品費、人件費・謝金に残額が生じた。2023年度は、2022年度の2倍程度の実験参加者を確保し、データ計測を行う予定のため、物品費と人件費・謝金へ経費を充当する。旅費、その他の経費は、2023年度参加予定の国際学会参加費や英語論文の校正費、論文投稿費へ使用予定である。
|