研究課題/領域番号 |
22K21266
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
土志田 裕太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60966919)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 老化細胞 / Senolytic 薬 |
研究実績の概要 |
老化細胞とは、老齢動物の組織に存在する生理機能が低下した細胞である。老齢動物の組織に老化細胞が存在することで、組織機能の低下を引き起こしていると考えられる。したがって、老齢動物の組織に存在する老化細胞を除く、もしくは、若い細胞の性質に戻すことで生体の組織機能を向上できると予想される。本研究では既に同定した3種類の老化関連遺伝子(遺伝子名は非発表)を用いて、老化細胞を積極的に除去する「老化細胞除去薬(Senolytic 薬)」の発見を目的とした。まず初年度では、マウス肝臓から単離した実質細胞に、同定した3種類の老化関連遺伝子を人為的に発現を誘導し、老化に関連した表現型を評価した。これら3種類の老化関連遺伝子に加え、既に知られていた他の2種類の老化関連遺伝子のマウス肝臓の実質細胞への人為的な発現誘導に成功した。さらに、遺伝子を導入していないマウス肝臓の実質細胞に比べ、老化関連遺伝子を導入したマウス肝臓の実質細胞においてDNA損傷のマーカー因子の増加が認められた。DNA損傷のマーカー因子の増加は、加齢に伴い動物組織に起きる老化に関連した表現型の一つである。以上より、老化関連遺伝子の導入により、マウス肝臓の実質細胞に老化に関連する表現型を誘導することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化関連遺伝子の導入に成功したが、Senolytic薬のスクリーニングに用いる為に、老化関連遺伝子の導入効率や実験の安定性をさらに改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
より効率の良い遺伝子の導入方法を検討する。Senolytic薬のスクリーニング実施に向けた実験条件(検出方法、処理条件、培養条件)を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度末に、新たに高額な実験試薬を購入する必要があった。高額な試薬は、納入する代理店により変動する納入価格の差異が大きいことから、使用額の調整が困難であった。これにより次年度使用額が生じてしまった。予算執行ができない昨年度末は、多量の遺伝子導入試薬を用いて実験を実施した。今年度では、ほとんど無くなってしまった遺伝子導入試薬の購入に次年度使用額を充てる。また、スクリーリング実施のための最適条件の検討と、スクリーニングの実施に今年度使用額を充当する。
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