昨年度に引き続き,飛行ロボットを利用した高所作業の効率向上に関する研究を推進してきている.特に,ロータ分散型飛行マニピュレータに関する研究で,非線形飛行制御システムの開発が進めており,作業空間の拡大という観点から顕著な進展を生んでいる.このシステムにより,マニピュレータの姿勢制御と環境への安定固定動作が精密に実現可能になり,作業の精度及び安定性が飛躍的に向上できることが実験により確認できた.さらに,飛行ロボットの離合体動作技術を開発し,複数のロボットが協力して行う作業が可能になった.その際に複数台機体間での合体時に発生する内力推定および補償制御技術の開発を行った.この技術により,単一のロボットでは対応困難であった大規模または複雑な作業を,複数のロボットが連携して効果的に遂行できるようになった.この進展は,複数台の飛行マニピュレータを用いた作業能力の拡張や協調物体運搬といった課題に対する有効な手段となっている.
研究成果は,International Symposium on Experimental Robotics (ISER 2023)で発表され,その革新性および実用性から高評価を得ている.また,関連する研究論文がIEEE Transactions on Robotics (T-RO)に採択され,国際的な研究コミュニティにおいてもその成果が認められている.この研究は,産業界における高所作業の安全性および効率の大幅な向上に寄与することが期待されており,今後も作業の自動化を目指した取り組みを続ける.
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