本研究では,色覚障がいを支援するために,意味情報補償用システムの提案を目的としている. 本研究課題の2年目では,意味情報補償用システムに取り入れる技術の改善及び検証実験に取り組んできた.これまでに開発したシステムに取り入れた深層学習モデルでは,対象外のオブジェクトが誤検出される問題に対して,最先端の参照セグメンテーションモデルを取り入れ,本研究で作成したデータセットで学習を行った.提案システムの有効性を検証するために,色覚障がいをもつユーザ及び正常な色覚をもつ協力者による主観評価実験を行い,提案システムの有効性が示された. 一方,深層学習モデルを利用した色覚補償用色変換技術を開発した.提案技術の有効性を検証するために,色覚障がいをもつ協力者による主観評価実験を行い,その成果をまとめた論文は国際論文誌Neural Computing and Applicationsに採択された.また,個人の障がい度合に適応できる色覚補償のための高速色変換技術を開発した.提案技術の有効性を検証するために,色覚障がいをもつ協力者による主観評価実験を行い,その成果をまとめた論文は国内CG分野の最高峰学会Visual Computing シンポジウムに採択され,口頭発表を行った.さらに,提案した色変換技術を拡張し,主観評価実験を行い,その成果を英語論文にまとめ,国際会議Computer Graphics International に投稿し(採択論文はCG分野のトップ国際論文誌の一つであるThe Visual Computerに掲載される),「Accept with Minor Revision」という査読結果を得た.
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