研究課題/領域番号 |
22K21277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 直暉 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (30963657)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 分散アルゴリズム / パラメータ化アルゴリズム / 普遍的な最適アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究では個々のグラフに適応した分散アルゴリズムの設計を行うことを目的とする.従来の最悪計算時に基づく性能の評価では,一部の特殊なインスタンスだけが最悪計算時間になり,その他の多くのグラフでは高速に解くアルゴリズムが存在する場合が考えられる.本研究の課題は(1)グラフの種類を細分化し,特定のグラフに対する高速なアルゴリズムを設計すること(2)グラフ構造に適応した普遍的な最適アルゴリズムを他の問題に対しても考えることが可能であるかを明らかにすることである. 今年度の研究では分散アルゴリズム上での最大マッチング問題について取り扱っており,分散グラフシステムのモデルの一つであるCONGESTモデル上で入力サイズに対してほぼ線形(\tilde{O}(n)時間)で解くアルゴリズムを考案した.この結果は当該分野のトップカンファレンスの一つであるSODAに採択されており,高い評価を得ている.また,同内容はより多くの人に知ってもらうために,国内学会の電子情報通信学会においても招待講演を行っている. また,前年度の報告書に記載したモバイルエージェントの結果について進展があった.0ビットの永続メモリを持つエージェントと1ビットの永続メモリの計算能力はグラフが2辺連結でない時は計算能力が異なることを示したが,複数台の0ビットの永続メモリを持つエージェントを用いて1ビットの永続メモリを持つエージェントがシュミレート可能であることを示した.この結果は国内学会であるLAシンポジウムにおいて発表を行っている. その他,逐次型のパラメータアルゴリズムに関する結果では,トークンスライディング問題について取り扱っており,スピリットグラフに関する新しい結果を得ることができた.この結果は国内学会であるLAシンポジウムにおいて発表を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載のように今年度はトップカンファレンスへの採択がされており,研究としては質の高いものとなっている.一方でスライディングトークンやモバイルエージェント等に関する結果は国際学会並びにジャーナルで採択されておらず,成果のブラッシュアップや執筆作業が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
現在すでに結果が得られている,モバイルエージェントやスライディングトークンの結果について国際会議やジャーナルに投稿することを目指す.また,分散グラフシステムのモデルの一つであるHYBRIDモデルについて普遍的な最適アルゴリズムが設計できないかについて検討をする.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在いくつかの研究成果が得られているが,国際発表や国際ジャーナルに投稿するための論文の執筆・投稿が今年度中に完了していないものがあるためである.繰り越し分は次年度の国際発表やジャーナルの校正費,掲載費,オープンアクセスのための費用に利用する予定である.
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