研究課題/領域番号 |
22K21282
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
リュウ フカン 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 特任講師 (30883178)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | プライバシー保護 / MPC / FHE / 共通鍵暗号 / 代数攻撃 / 代数度評価技術 / 有限体 |
研究実績の概要 |
令和4年度にマルチパーチ計算(MPC)向けの共通鍵暗号LowMCの安全性に関する研究に大きな進歩を遂げた。LowMCの安全性をより深く理解するために、部分非線形層という新しい構造に対して新しい解析技術を開発しなければならない。この問題に対して、代数中間一致攻撃という新しい解析技術を提案した。前の代数技術と比べ、この技術はより良い時間と空間のトレードオフをもたらすことができて、LowMCの多くの重要なパラメーターの安全性マージンが更に少なくなり、特にあるパラメーターを初めて破ることもできた。この成果はトップ国際会議ASIACRYPT2022で発表した。
多くのFHE向けの共通鍵暗号は大きい有限体で定義された。しかし、このような有限体に対する専用の解析技術が僅かであるため、設計者は未知の脆弱性を見落とす可能性が高くなる。大きい有限体での完全準同型暗号(FHE)向けの共通鍵暗号Chaghriに対して、汎用かつ高速な代数度評価技術「coefficient grouping」を開発し、Chaghriを実際の計算量で破ることをはじめて示した。具体的には、Chaghriの代数度が指数関数的増加ではなく線形関数的増加であることを明らかにした。前の代数度評価技術と比べ、「coefficient grouping」は線形時間でよりタイトな代数度の上界を計算することができる一方、汎用な暗号構造にも応用できる。この結果はトップ国際会議EUROCRYPT2023で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MPCとFHE向けの共通鍵暗号に対して、より有効な解析技術を開発し、代表的な暗号LowMCやChaghriを破ることもできた。これらの技術はより安全かつ高速な設計に役立つと思います。
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今後の研究の推進方策 |
一つ目は「coefficient grouping」という技術を更に発展させて、より汎用な暗号構造に応用できるようにします。二つ目は、これらの技術を用いて、安全かつ高速なMPCやFHE向けの共通鍵暗号を設計します。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVIDにより海外出張が厳しくなり、旅費支出は少なくなった。それに、令和4年に主に解析技術の解析技術を行ったため、新しい計算機を買う必要がない。
令和5年に、暗号の設計及び実装のために、いくつの計算機を買う予定です。それに、全世界に海外出張が解禁されたため、国内及び海外出張の回数が増えると思う。
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