研究実績の概要 |
本研究は、heterogeneous metric learningに基づいたテンプレートベースの新たな結晶構造予測手法の提案を目的としている。本手法では、与えられた化学組成と結晶構造のペアが安定構造であるか否かを判別する関数を結晶構造データベースから学習し、その関数の評価値に基づいたテンプレート構造の提案によって構造予測を行う。本研究は研究者自身による先行研究 [1] の直接的な発展手法である。この先行研究は、homogeneous metric learning に基づいたテンプレートベースの結晶構造予測手法であり、申請書を作成した段階では未採択であったが当該年度8月に公式に雑誌からpublishされた [1]。 当該年度では、化学組成と結晶構造のペアが安定構造であるか否かを判別する関数の推定のために、既存のheterogeneous metric learning手法の調査、数値実験による比較を行った。その結果、9割を超える精度で判別可能な予測モデルの獲得に成功した。また、化学組成等の情報をできるだけ情報損失が少なく記述子 (=固定長ベクトル) に変換する一般的な枠組みとしてカーネル平均記述子を開発した。本手法のコードは既に公開している [2]。本記述子の使用による予測精度の改善は複数の機械学習例で確認されている。
[1] Kusaba, M., Liu, C., & Yoshida, R. (2022). Crystal structure prediction with machine learning-based element substitution. Computational Materials Science, 211, 111496. [2] https://github.com/Minoru938/KmdPlus
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