本研究では,軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸患者のPSG心電図データを用い,HRV解析を行った。N2仰臥位においてイベントのない区間と低呼吸を認める区間で比較した結果,低呼吸によりLF,LF/HFの増加を認め,交感神経活動の亢進が示唆された。しかし,患者別のパワースペクトル密度(PSD)ではイベントの有無に関係なく,LF優位型,HF優位型などの傾向があり,さらにLF,LF/HF値は軽度の患者で高い傾向を認めた。以上より,HRV解析結果は,判定しうる呼吸イベントの有無だけでなく患者の呼吸パターンや脳波変化などを反映している可能性が考えられ,これらを考慮した結果の解釈が必要であると考えられた。
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