研究課題/領域番号 |
22K21311
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
遠藤 和紀 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (70963338)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 劣化画像 / データ拡張 / 画像認識 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、前年度に開発した「多様な劣化水準(画像品質を制御するパラメータ)に対応可能な劣化画像の認識ネットワークの学習に有効なデータ拡張方法」の検証を行った。 多様な劣化水準に対応するためには、ネットワークの学習時に、劣化のない画像と劣化のある画像を混在させ学習を実施するのが一般的である。今次研究では、劣化のない画像と劣化のある画像のそれぞれに適用するデータ拡張方法を異なるものにすることで、劣化画像の学習に特化したデータ拡張方法を提案した。具体的には、劣化のない画像にはRandom erasing(既存手法)を適用し、劣化のある画像にはCutBlur(既存手法)を適用した。 当該手法を、4つの劣化(JPEG、Gaussian noise、Gaussian blur、ごま塩ノイズ)、3つのデータセット(CIFAR10、CIFAR100、TINY ImageNet)、4種類のネットワーク(VGG16、ResNet50、ResNet56、Shake PyramidNet)を用いて検証し、高画質の認識精度を維持しつつ、劣化画像の認識を行うことができるよう学習できることを実証した。しかしながら、低画質の認識精度がやや損なわれるという課題を残した。 劣化画像認識に特化したデータ拡張方法に関する先行研究は少なく、今次提案手法は、劣化のある画像と劣化のない画像の認識性能を両立を検討する上で、重要な成果であると言える。 なお、当該研究成果は、令和5年度末に、Journal of Electronic Imaging(オープンアクセス)に採録済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度末に雑誌論文として採録されており、本研究における当初目的は概ね達成されているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の目的は概ね達成されているものの、研究実績の概要に記載した通り、低画質の認識精度がやや損なわれるという課題がある。令和6年度は、劣化のある画像をネットワークに入力することで抽出される画像特徴量に関する分析を行い、更なる知見の獲得を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、データ解析用PCを大学内の通常業務と兼用するPCで代替したこと、英文校正サービスを利用しなかったことに起因する。今年度は多数の劣化画像の特徴量を解析する都合上、通常業務と分離して行うことが望ましく、新規購入の上、解析を進める予定。また、研究データを保管するための外付け記憶装置(SSD)も購入する予定。
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