研究課題/領域番号 |
22K21335
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
阿部 有希子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 博士研究員 (50966041)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 下層土壌 / 火山灰土壌 / 土壌有機物 / 微生物呼吸 / 炭素同位体 / 炭素循環 |
研究実績の概要 |
本年度は表層から下層土壌までの微生物呼吸量を明らかにするために、火山灰土壌(秩父、標茶)と非火山灰土壌(赤津、広島)が分布する計4か所の森林を対象として土壌を深さ別(0-10、10-25、30-45、45-60 cm)に採取し、土壌の培養実験と土壌分析を行った。土壌の培養実験で得られた結果を基に単位面積あたりの微生物呼吸量を算出したところ、いずれの調査地においても深さ0-10cmが最も高く、深さ0-10 cmでは火山灰土壌の方が非火山灰土壌に比べて高い傾向が認められた。その一方で、深さ30-45、45-60 cmの微生物呼吸量には調査地間の差が認められず、下層土壌(30-60 cm)からの二酸化炭素放出量は、母材の違いに関わらずいずれの土壌においても全体(各深さの合計)の10%程度を占めることを明らかにした。土壌有機物の分解性の指標として土壌炭素量あたりの微生物呼吸量を算出した結果、いずれの調査地においても表層の方が下層に比べて分解されやすく、下層土壌では非火山灰土壌の方が火山灰土壌に比べて有機物が分解されやすいことが明らかになった。母材の異なる下層土壌では有機物の存在状態や分解特性が異なるため、微生物呼吸を規定する要因は異なることが想定される。今後、下層土壌における有機物動態の詳細を明らかにするために、有機物の存在形態や易分解性有機物が供給された場合の分解応答などについて調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに母材の異なる森林土壌の微生物呼吸量を深さ別に明らかにし、土壌炭素循環における下層土壌の重要性を示すことができており、土壌有機物特性に関するデータ等の取得も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によって、下層土壌から無視できない量の二酸化炭素が放出されており、微生物呼吸に寄与していること、すなわち下層土壌が炭素循環に寄与していることが確認された。今後は下層土壌への易分解性有機物の供給に対する分解応答を評価するために炭素同位体分析を用いた実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の培養によって放出された炭素は放射性炭素同位体分析を行う予定であるが、下層土壌で分析に必要な炭素量がまだ溜まっておらず、培養を終了できていないため、培養後の土壌分析のための予算が残っている状況である。次年度中には試料を回収し、培養後の土壌分析を行う計画であるため、その際に未使用分の予算を使用する予定である。
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