研究課題/領域番号 |
22K21352
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東山 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00313205)
|
研究分担者 |
土松 隆志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60740107)
岩田 洋佳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00355489)
河内 孝之 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
那須田 周平 京都大学, 農学研究科, 教授 (10273492)
工藤 洋 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10291569)
植田 美那子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20598726)
大林 武 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50397048)
榊原 恵子 立教大学, 理学部, 准教授 (90590000)
佐藤 良勝 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (30414014)
|
研究期間 (年度) |
2022-12-20 – 2029-03-31
|
キーワード | 植物生殖 / 鍵分子ネットワーク / 分子科学 / 大規模データ科学 / 国際的次世代若手リーダー |
研究実績の概要 |
植物生殖は植物の種の存続のみならず、穀物生産を介して人類の生存も支えている。近年、植物生殖の鍵となる生理活性分子や転写調節因子などの分子同定が進んでいる。しかし、これらの鍵分子群が、野外の植物の生殖、育種、進化においていかに重要であるのか、明らかではない。鍵分子群がどのような作動原理で分子ネットワークをつくり(鍵分子ネットワークと呼ぶ)、環境の変化、育種、進化においてどのような役割を果たしているのか、解明が期待される。本研究では、最先端の分子科学と大規模データ科学を両輪に、本分野を先導する日欧の研究者を結集する。学生およびポスドクが独立テーマにより本研究を推進することで、鍵分子ネットワークの解明および優れた国際的若手PIの育成の両者を達成する。本年度は、日本(東京)とスイス(チューリッヒ)のそれぞれで、キックオフシンポジウムを開催し、共同研究を大きく加速させた。さらに、国内での共同研究や情報交換、ネットワーキングの加速を目的としたKEPLRセミナーシリーズも開催した。KEPLRセミナーをハイブリッドで行うことで、東京地区、仙台地区、京都・名古屋地区の各地区を中心に、対面での交流も深めた。プロジェクトホームページも立ち上げ、国内外の多くの研究機関が参加する本プロジェクトの中核が確立した。海外渡航も加速し、短期長期を含め、大学院生7名、ポスドク12名がKEPLRメンバーとしてヨーロッパに渡航・滞在した。プロジェクト内にURAとして特任助教を配置し、プロジェクト全体の円滑な運営とネットワーキングの強化を図ることにした。東京大学の戦略的パートナーシップETHZ/UZHチームに積極的に加わり、チューリッヒでの異分野国際シンポジウムにおいて環境科学分野への展開に貢献した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本だけでなくチューリッヒでもキックオフシンポジウム(口頭発表、ポスター発表、交流会)を行うことで、日欧の69名の参加者が集い、国際共同研究を大きく加速することができた。KEPLRセミナーシリーズを新たに立案・実行することで、単なる派遣事業とならず、プロジェクトが一体となって研究を進める体制が強化され、また学生・ポスドク間の交流が進んだ。申請時には計画になかった特任助教を配置することで、一連の活動を円滑に推進するとともに、学生・ポスドクのネットワーキングを強化することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、植物生殖において鍵分子ネットワークを構成する重要な鍵分子とその機能は何かを、進化、適応、育種の観点から問う。実験室における植物生殖の鍵分子機能の研究(分子科学)とフィールドにおける植物システムの研究(大規模データ科学)を融合する。多くの知見を発表し、画期的な技術・装置・データベース・数理モデルを創出する。
環境応答グループでは、季節の感知による花成や環境適応など、野外での定点観測に優れた植物ならではのアプローチで、興味深い現象の鍵分子群の同定および数理モデルの導出を達成する。ゲノム柔軟性グループでは、植物の大きな特徴の一つである、核相や生殖系列の柔軟性、クロマチン制御について、植物科学が得意とする遺伝学も駆使して鍵分子ネットワークを解明する。細胞間コミュニケーショングループは、複雑な雌しべ組織で起こる多段階の細胞間コミュニケーションによる受精・遺伝、その劇的な分子進化を解明し、その自在なデザイン・改変により理解を証明する。生殖発生グループでは、受精卵からの初期胚発生やゲノムインプリンティングを中心として、父母のゲノムを合わせた1細胞から組織や個体が発生する仕組みの鍵分子ネットワークを解明する。全てのグループで、国際共同研究が進んでおり、その一部は発表され始めた。長期のポスドクの派遣が増加しており、学生の長期派遣も検討されている。次年度は、引き続きこれらの取り組みを継続および強化する。
若手育成においては、1)ネットワーキング、2)異分野融合、3)挑戦、の3点を重視する。プロジェクトホームページを通じてメンバーの活動が活発に発信され始めたので、次年度も、引き続き取り組みを継続および強化する。特に次年度は、本プロジェクト内で整備を進めてきたin-house grant制度の運用を開始する。テニュアポストを獲得した若手メンバーのスタートアップ支援も開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究環境を確保するための経費内訳を各年度ごとに計画的に使用するため。in house grant制度として、派遣される若手が海外で使用する予算を準備するため。派遣や招へいの計画の一部のずれ込みのため。
|