研究課題
2023年2月から,量子場計測システム国際拠点(QUP)において特任准教授として着任した.本研究所では,極低温検出器を用いた宇宙機へ向けた超伝導遷移端型センサー(TES)を用いたシステムを日本で開発するとともに,本研究課題であるTES X線カロリメータを用いたX線分光システムをオランダ宇宙研究所から導入し,地上応用を通じてX線天文学で必須であるプラズマコードを充実させることを追加成功基準としている.今年度は,主に帰国後の主たる研究機関であるQUPにおける実験室整備に時間を費やした.元々は,本研究基金を持って,希釈冷凍機の導入を計画していたが,近年の価格上昇により,本科研費の予算内に収まらない,という問題が発生し,その対応に迫られた.最終的に,QUPにおける希釈冷凍機を借り受ける,という形になったが,冷凍機の再起動や実験室の整備などが必要となり,研究計画全体が予定よりも遅れることとなった. 具体的には,実験に必要な無冷媒希釈冷凍機の移設,再立ち上げ, 関連する実験室におけるグランド設備の準備,極低温部に導入する配線設計などである.実験室,希釈冷凍機,ともに2024年度の稼働が期待されている. 並行して,申請者の前所属であるオランダ宇宙研究所とは,密なコミュニケーションを継続しており,TES X線カロリメータを含めた分光システムの借り入れに関する準備は順調に進んでいる.これらの費用は共有設備のため,QUPでカバーされたため,実質的な経費は発生していない.
3: やや遅れている
本実験のコアとなる希釈冷凍機の価格が以前の倍以上になっており (3500万=>8000万),本科研費での購入ができなくなった.そのため,代替案を作る必要に迫られ,そちらに時間を費やした.しかしながら,その結果,QUPが保持する希釈冷凍機を借り受けることで合意し,その準備に向け動き出している.
2024年度中に冷凍機の立ち上げ,オランダ宇宙研究所からの検出器システム借り上げを行う.冷凍機が準備出来次第,システムの導入を行い,性能評価を進める.その後に,地上実験への応用を進める.
最も大きな支出先である希釈冷凍機に関して,着任後改めて見積もりを取った所,当該研究費では賄えないことが判明し,その対応において,支出予定が変更された.現所属機関の持つ実験室の整備,希釈冷凍機の再立ち上げなどに用いることで,元々の計画から大きく遅れないようにする予定である.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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