研究実績の概要 |
未利用植物性バイオマスを原料としたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の生産は、持続可能なPHAベースの生分解性バイオプラスチックを実現する理想的な方法と考えられる。本研究では、植物バイオマスをPHAに一貫生産することを目的とし、セルロース分解能力を持つ昆虫共生放線菌Streptomyces sp. SirexAA-EとPHAを生産する事で知られるPriestia megateriumの2つの特殊な細菌を共培養することによって、統合された生物変換を実証した。単独培養では、S. sp. SirexAA-EはPHAを生産しない事を確認し、またP. megateriumは植物ポリ糖類で生育しない事を確認した。一方、共培養を行ったところ、セルロース、キシラン、マンナンなどの精製された多糖類および植物バイオマス(ミスカンサス、トウモロコシの茎や葉)を単一炭素源とし、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(PHB)の生産が確認できた。さらに、S. sp. SirexAA-EとP. megateriumの共培養によって、ミスカンサスあたり40 mgのPHBの生産を確認した。したがって、植物バイオマスを原料としたPHA一貫生産技術の実施可能性を示す事ができたと考える。本研究を実施した結果、特許の出願(特願2022-074-JP01 )および、2023年にBioresource Technol誌への掲載を実績として報告済みである(Kumar et al., Bioresource Technol, 2023)。
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