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2022 年度 実績報告書

超高速X線吸収分光による1原子層酸化物担持白金光触媒の光励起電荷移動ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 22F31331
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

朝倉 清高  北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (60175164)

研究分担者 CHENG WEIREN  北海道大学, 触媒科学研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-07-27 – 2024-03-31
キーワードXAFS / Pump-Probe / 電子移動 / Pump-Flow / 光触媒 / 触媒メカニズム / Pt / CoOOH
研究実績の概要

時間分解ポンプ・フロー・プローブXAFS(X-ray absorption fine structure)法を用いて、光触媒の光吸収により生じた電子が触媒活性点である金属にどういう速度で移動し、その際にどういう触媒の構造変化を引き起こすのかを速度論的及び機構論的にあきらかにすることを目的に研究を展開する。対象としては、白金-CoOOHナノシートの不均一光触媒反応系を取りあげる。本年度は、予定通り、準備段階としてPt-CoOOHナノシート試料を作製し、Pt-CoOOHナノシート中のPtおよびCoの静的構造(反応前の)構造を決定した。さらに、新しい手法であるポンプ・フロー・プローブXAFS法を行うためのレーザーポンプシステムを設計・構築し、フォトンファクトリー(PF)のBL15A1で放射光を使わないでこのシステムが実際に働くかの検証を行った。本報告書では以下の2点を報告する
1) Pt-CoOOHナノシートの調製と構造の決定について。まずCoOOHナノシートは、水熱法で合成し、NaOH水溶液中で陰イオン交換することにより作製した。Pt蒸着
後、Pt担持量約1wt%のPt-COOHナノシートが得られた。TEM、XRDの結果およびXAFS解析から、Pt-CoOOH試料には原子レベルで分散したPtが存在することが確認された。
2)レーザーシステムの設計・構築を行った。ポンプ・フロー・プローブXAFS測定では、中心波長405±5 nmのCWレーザー装置をポンプ光源として使用し、レーザースポットとX線スポットのスポット間距離を変えることで、光励起後の遅延時間を変化させることができ、ポンプ・フロー・プローブXAFSを実現した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた通りにPt-CoOOHナノシートの調製を行った。その構造をTEM(Transimission electron microscopy,透過電子顕微鏡)、XRD(X-ray diffraction, 粉末X線回折)XAFS(X-ray absorption fine structure, X線吸収微細構造)分光で決定した。面間隔および格子定数からCoOOH結晶の層状構造およびナノ構造体の形成が確認された。しかし、予想と反してPt-CoOOH試料には原子レベルで分散したPtが存在することが確認された。すなわちPt微粒子をTEMおよびXRDで確認できなかった。一方XAFSではPt-O結合が確認された。このときにPt-Pt結合が観測されず、高分散した原子状のPtであることが分かった。こうしたPtの存在は、従来考えられていたものと違い、今後の研究の基盤になる。Ptナノ粒子の形成の可能性についても検討を加えることにしている。
2)レーザーシステムの設計・構築を行った。ポンプ・フロー・プローブXAFS測定では、中心波長405±5 nmのCWレーザー装置をポンプ光源として使用し、レーザースポットとX線スポットのスポット距離を変えることで、光励起後の遅延時間を変化させることができ、ポンプ・フロー・プローブXAFSを実現できた。特に、精密制御したZステージにより水流を精密に移動させることで、ポンプ・フロー・プローブXAFSが実現できる。

今後の研究の推進方策

2023年の春にポンプ・フロー・プローブXAFS測定を行う。高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリ(PF)にあるBL15A1ステーションにおいて、Pt-CoOOHナノシートのポンプ・フロー・プローブXAFS測定を行う。この期間中に、10μsから9msの範囲で遅延時間を設定し、Pt L3端とCo K端のポンプ・フロー・プローブXANES(X-ray absorption near edge structure)およびEXAFS(Extended X-ray absorption fine structure)スペクトルを収集する予定です。また、必要に応じてSPring8にある自由電子レーザおよびPF-ARの単バンチ放射光を用いて、フェムト秒(fs)からナノ秒(ns)のポンプ・プローブXAFS法で、超高速で起こる電子状態と構造変化を決定する。
2) XAFSデータ解析と論文出版
ポンプフロープローブXAFS測定で得られたPt-CoOOH試料のPt L3エッジおよびCo KエッジXANESスペクトルを解析し、光触媒反応時の電子移動挙動を把握する。さらに、Pt-CoOOHのPt L3エッジEXAFSスペクトルを解析し、光触媒反応におけるPt-CoOOHナノシート中のPtの構造変化を把握する。これらの解析から、本質的な光触媒のメカニズムを解明し、これらの新発見に関する論文を整理して発表する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考] 超高速X線吸収分光による1原子層酸化物担持白金光触媒の光励起電荷移動ダイナミクス

    • URL

      https://sites.google.com/eis.hokudai.ac.jp/pfxafsprojectbywcdkynka/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

  • [備考] 北海道大学 触媒科学研究所 触媒表面研究部門 朝倉研究室

    • URL

      https://www.cat.hokudai.ac.jp/asakura/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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