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2022 年度 実績報告書

人間活動および気候変動がもたらすマダニおよびマダニ媒介性病原体の分布拡散解析

研究課題

研究課題/領域番号 22F22084
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

中尾 亮  北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50633955)

研究分担者 KWAK MACKENZIE  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-09-28 – 2025-03-31
キーワードマダニ / 土地利用 / 人間活動 / 気候変動 / ニッチモデリング / ミトゲノム / 吸血源 / 東南アジア
研究実績の概要

マダニの分布と土地利用形態との関連性を調査する目的で、鹿児島県および島根県のマダニ媒介性感染症流行地において、定点調査候補地を視察し、フラッギング法による予備的調査を行った。鹿児島県では島嶼地域を候補地として計画し、地理的な隔離と共に、同地域の吸血源動物相がマダニの分布に与える影響を解析するための複数の調査地を選定した。野外環境からのマダニ採集に加え、ロードキル個体や傷病鳥獣からマダニ検体を収集する仕組みを構築した。島根県では、主に耕作放棄地を対象に候補地を調査し、植生・土地利用形態の異なる複数地点を定点調査地として決定した。さらに、地元猟友会の協力により、狩猟鳥獣個体からもマダニを収集できる体制を整えた。予備的に実施したフラッギング法では、タカサゴキララマダニ、キチマダニ、フタトゲチマダニ等が採集できた。
東南アジア地域に分布するマダニ種について、地域間の遺伝子型を比較する目的で、マダニのミトゲノム解析を進めた。マダニのミトゲノムを選択的に増幅できるSWGA法を応用し、シンガポールで採集されたキララマダニ属およびマダニ属マダニのミトゲノムを増幅し、MiSeqにより解読して全長配列を決定した。さらに、本邦を含め東南アジアに広く分布するミナミネズミマダニに関しては、マレーシアとシンガポールでの野生齧歯類への寄生データから、同マダニの分布に与える環境要因を検索した。ロジスティック回帰分析の結果、森林形態によりミナミネズミマダニの分布が説明できることが示された。すなわち、同マダニは原始林を好み、低木林や公園等ではほとんど捕獲されなかった。また、齧歯類の雄への寄生数が雌より統計的に有意に高かったこと、フラッギング法でも植生上から採集可能であったことから、ミナミネズミマダニは留巣性の可能性が低いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

土地利用形態の異なる複数の定点調査地点を選定できたこと、さらにロードキル個体、傷病鳥獣、狩猟鳥獣等からマダニを収集できる体制を構築できたことから、マダニ検体のサンプリングについては当初の計画以上に進展した。
マダニの遺伝子解析については、本邦のマダニを基本に設計したゲノム増幅手法が海外産マダニでも有効であることが確認でき、計画通り進めている。
本邦に加え、シンガポール、カンボジア、マレーシア、台湾などの東南アジア諸国との共同研究を新たに構築し、マダニ分布モデル構築に有用な海外サンプルの収集も順調に進んでいる。
以上のことから、当初の計画以上に進展していると評価する。

今後の研究の推進方策

本州では鹿児島県、島根県を中心に野外環境および動物体表からマダニ採集を引き続き実施する。さらに、北海道の複数の地域において定点サンプリングを開始する。それぞれの調査地において、土地利用形態および植生別に3-5 区画の観測区域を設け、月に一回の頻度でフラッギング法によりマダニの採集を行う。採集されたマダニは形態観察による種同定の後、遺伝子型別、アンプリコンseqによる病原体叢解析、吸血源動物解析を行う。海外産マダニについても、共同研究者を通じてマダニ標本あるいはDNAの収集を進める。ニッチモデリング解析に用いるための、データ収集を続ける。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] シンガポール国立大学(シンガポール)

    • 国名
      シンガポール
    • 外国機関名
      シンガポール国立大学
  • [学会発表] Forecasting the spillover pathways of zoonotic vector-borne pathogens and identifying high-risk vectors2023

    • 著者名/発表者名
      Mackenzie L. Kwak、Gregory Markowsky、Ryo Nakao
    • 学会等名
      第92回日本寄生虫学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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