研究課題/領域番号 |
21F21101
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
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研究分担者 |
BIN KABIR MD. HAZZAZ 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2021-07-28 – 2024-03-31
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キーワード | クリプトスポリジウム / 薬剤スクリーニング / 電子顕微鏡解析 |
研究実績の概要 |
クリプトスポリジウムは、主にウシなどの畜産動物や野生動物の糞便中に含まれる大量のオーシストが上水に混入することでヒトに水系感染による集団性下痢症を引き起こす。特に、畜産地域においては感染牛とヒトの接触が多いことから、公衆衛生上、最も重要な人獣共通感染症の1つである。また、畜産動物においては、特に生後1-2 週齢の仔ウシに集団感染による下痢症を引き起こし、斃死、廃用につながる。このように、クリプトスポリジウム症は人獣共通感染症としての社会的、公衆衛生上の重要性が極めて大きいにも関わらず、研究知見が少ない。このような背景から、本研究では抗クリプトスポリジウム薬の開発とその感染メカニズムの解明を行う。 家畜の伝染性の下痢症は、現在畜産業界において経済的に甚大な打撃を与え続けている。特にクリプトスポリジウム症は、人獣共通感染症として畜産物の安全性の観点からも重要性が大きいにも関わらず、日本においては未だ有効な治療薬がない。以上のことから、本研究では、抗クリプトスポリジウム薬のスクリーニングと薬剤の作用機序について超微細構造解析を行うことを目的とする。 本年度は、ヒト大腸癌由来の培養細胞株であるHCT-8細胞を用いて、クリプトスポリジウムの侵入阻止試験を行った。さらに、これらの侵入阻止試験で原虫の侵入阻止に高い効果が確かめられた薬剤シーズについて、SCIDマウスを用いた感染実験系によって経口投与による薬剤スクリーニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、ヒト大腸癌由来の培養細胞株であるHCT-8細胞を用いて、クリプトスポリジウムの侵入阻止試験を行った。さらに、これらの侵入阻止試験で原虫の侵入阻止に高い効果が確かめられた薬剤シーズについて、SCIDマウスを用いた感染実験系によって経口投与による薬剤スクリーニングを行った。今回、実際に感染SCIDマウスの糞便中のオーシスト数を優位に減少させる薬剤を複数同定することに成功した。従って、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、SCIDマウスを用いた感染実験系によって経口投与によるクリプトスポリジウム症に対する薬剤スクリーニングを行った。今後の研究推進方策としては、これらの結果から効果の確認された薬剤の投与下での感染SCIDマウス腸管内の寄生オーシストのオルガネラについてオスミウム浸軟法による電子顕微鏡解析を行う。
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