クリプトスポリジウムは、主にウシなどの畜産動物や野生動物の糞便中に含まれる大量のオーシストが上水に混入することでヒトに水系感染による集団性下痢症を引き起こす。特に、畜産地域においては感染牛とヒトの接触が多いことから、公衆衛生上、最も重要な人獣共通感染症の1つである。また、畜産動物においては、特に生後1-2週齢の仔ウシに集団感染による下痢症を引き起こし、斃死、廃用につながる。このように、クリプトスポリジウム症は人獣共通感染症としての社会的、公衆衛生上の重要性が極めて大きいにも関わらず、研究知見が少ない。このような背景から、本研究では抗クリプトスポリジウム薬の開発とその感染メカニズムの解明を行う。 家畜の伝染性の下痢症は、現在畜産業界において経済的に甚大な打撃を与え続けている。特にクリプトスポリジウム症は、人獣共通感染症として畜産物の安全性の観点からも重要性が大きいにも関わらず、日本においては未だ有効な治療薬がない。以上のことから、本研究では、抗クリプトスポリジウム薬のスクリーニングと薬剤の作用機序について超微細構造解析を行うことを目的とする。 本年度は、感染マウスで効果のあった薬剤については、実際の畜産現場でクリプトスポリジウム感染地域の牧場のウシにおいて、その効果を解析した。
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