研究課題
本研究では,弾性熱量効果を用いた冷却機器の実現を目指すことを目的としている.研究3年目の本年度は最終年度ということもあり,本研究の基幹部分である「弾性材料性能評価」および「作動流体の流動様相評価」に関する研究を,特別研究員とともに研究総括の出口を見据えて遂行した.具体的には,前年度に製作したマルチチューブ型弾性熱量効果実験装置を用いて,作動流体使用率,伸縮周期および負荷応力をパラメータとした実験を行い,実用化に向けた最大冷却能評価および使用弾性体単位質量当たりの比出力について評価を行った.また,並行して前年度に引き続き,弾性体の耐性試験も実施した.弾性材料性能評価に関しては,これまでと同様に弾性体にラテックス(天然ゴム)を用い,また作動流体に「水」を用いた.実験条件は前年度に構築したモデルによる数値シミュレーション結果から,弾性体の伸長率は5.5倍,流体振動と弾性体振動の位相差は90度と固定し,それ以外のパラメータを変更させて実験を行った.その結果,最大温度差は流体使用率の増加とともに減少する一方,冷却能は流体使用率増加とともに増加する傾向が得られた.しかしながら冷却能の増加割合は徐々に減少していき,各条件における最大冷却能を推定することが可能となった.また,天然ゴムにおける弾性熱量効果を利用した冷却能を他の弾性熱量効果とも比較し,比出力がNi-Ti合金を用いた場合と同等であることが明らかとなり,負荷応力の違いから,天然ゴムの優位性が示唆された.作動流体の流動様相評価に関しては,天然ゴム管入口付近の温度境界層に関して詳細評価を行い,作動流体の流速を上げることで熱伝達係数の向上を図ったが,ゴム管長の30%程度の領域にしか適用できず,流動を入り口付近から乱流化させる必要性があることが分かった.これらの研究成果は,国内外6件の研究会にて発表を行い,成果の発信をしてきた.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
Journal of Physics: Energy
巻: 6 ページ: 025003~025003
10.1088/2515-7655/ad20f4