研究課題
本研究課題では、超高強度モルタルを主な対象として、ナノサイズの補強繊維からメゾサイズ(マイクロメートルオーダー)・マクロサイズ(ミリメートルオーダー)までの各種補強繊維を組み合わせて用いることにより、繊維補強セメント系複合材料(FRCC)の力学特性や耐久性に与える影響を確認した。ここでは、ナノサイズの補強繊維としてセルロースナノファイバー(CNF)を、メゾサイズにはCNFと同様に木質系のミクロフィブリルセルロースや針状の構造を持つ鉱物であるワラストナイト、マクロサイズには一般的な補強繊維として用いられる鋼繊維や合成樹脂繊維などを用いた。また、マトリックス材料についても、フライアッシュなどの産業副産物系の混和材の適用について検討を行った。各種の力学試験などを実施して、これらの結果から異なるスケールの繊維間の相互作用により、マトリックス部分が補強されることでマクロ繊維(鋼繊維)の付着性状と引抜強度の向上することを確認した。ナノ繊維は微細ひび割れの発生とその成長を制御できる一方で、単独で用いた場合の靭性への影響は極めて限定的であり、靭性の向上に寄与するミクロ繊維との組み合わせにより靭性の向上に寄与する。ナノ繊維とミクロ繊維を適切な量で組み合わせた場合には、水和反応の継続に寄与してマクロ繊維とセメントマトリックス間の界面領域の改善に寄与することを確認した。これらの性状は、水和生成物中の微細構造の変化と生成相を、SEM観察、XRD、水銀圧入ポロシメータなどの試験により評価した。これらの成果は、ナノ繊維とワラストナイトを用いた場合の影響を中心にまとめた論文として国際誌に1編の論文が採択された(DOI: 10.1016/j.conbuildmat.2024.135802)ほか、更にFRCCとしての力学特性を中心とした内容の論文として国際誌に投稿するための準備を進めている。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Construction and Building Materials
巻: 423 ページ: 135802~135802
10.1016/j.conbuildmat.2024.135802
コンクリート工学年次論文集
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E3S Web of Conferences
巻: 445 ページ: 01007~01007
10.1051/e3sconf/202344501007