研究課題/領域番号 |
22F21372
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 玉友 東北大学, 工学研究科, 教授 (30201106)
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研究分担者 |
LUO JINGHUAN 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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キーワード | 下水処理システム / 脱炭素 / バイオガス / 創エネルギー / 嫌気性MBR / アナモックス / 硝酸呼吸型微生物 |
研究実績の概要 |
脱炭素循環型社会を構築するために、都市下水処理システムをエネルギー消費型施設から創エネ・低炭素型に変革することが求められ、新規嫌気性処理技術の開発が注目されている。一方、メタン発酵法による都市排水の創エネルギー型処理を行った後に、溶存性メタンとアンモニアが残留し、後続の適正処理が課題となっている。本研究は、機能性膜を用いた酸素供給と硝酸・亜硝酸呼吸型型嫌気性メタン酸化(n-DAMO)微生物とアナモックス脱窒微生物によって形成される共生生物膜を利用して、嫌気性MBRの処理水に対して高度処理を行うプロセス開発であり、次の研究項目に取り込む:(1)嫌気性MBRによる下水の創エネルギー処理とアンモニア生成、(2)n-DAMO微生物の集積培養、(3)曝気膜促進型複合アナモックス生物膜の形成、(4)連続実験を用いたプロセス性能評価。 R4年度の研究は創エネルギー型都市下水処理システムを確立するために、(1)下水処理場で嫌気性MBR法による都市下水の創エネルギー処理とアンモニア生成を検討したとともに、(2)後続の高度処理を行うための硝酸・亜硝酸呼吸型微生物の集積培養を行った。具体的には、研究(1)では、有機物変換と創エネルギー効果に焦点を絞り、下水処理場で20Lの嫌気性MBR反応装置を運転し、水質変換とバイオガス生成に及ぼす水理学的滞留時間の影響を把握した。また都市下水に含まれるSSやアルカリ度などの影響についても解析した。研究(2)では、後続の高度処理を行うための硝酸・亜硝酸呼吸型微生物の集積培養を行い、溶存メタン濃度、アンモニア濃度の影響を実験的に把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、脱炭素循環型社会の構築に寄与する都市下水処理システムを開発するために、エネルギー消費型施設から創エネ・低炭素型に変革するための創エネルギー型システムを確立するために、エネルギー生成ユニットの嫌気性MBR法と後続の高度処理を行う曝気膜促進型複合アナモックス生物膜法の融合利用を工夫している。R4年度では、主に前段の嫌気性MBR法の実験的研究に焦点に絞り、下水処理場で嫌気性MBR法による都市下水の創エネルギー処理とアンモニア生成を検討したとともに、後続の高度処理を行うための硝酸・亜硝酸呼吸型微生物の集積培養を行った。ほぼ予想通りの成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでおおむね計画通りの成果が得られたので、令和5年度以降は次のように取り組む予定である。 R5年度の研究は省エネルギー脱炭素型高度処理を実現するために、嫌気性MBR処理水に残存する溶存性メタンとアンモニアの処理を目指して、(1)曝気膜促進型アナモックスとn-DAMO複合生物反応系の形成、(2)嫌気性MBRメタン発酵のろ液に含まれる溶存メタンとアンモニア窒素の除去を行うための長期連続実験を行う。研究(1)では、曝気膜型反応槽におけるアンモニア酸化とアナモックスの共生生物膜の形成を検討するとともに、生成した硝酸と溶存メタンとの反応による脱窒相乗効果を把握する。研究(2)では、長期連続実験を通して、曝気膜促進型アナモックスとn-DAMO複合生物反応系による嫌気性MBR処理ろ液に対する処理性能を検討する。また同複合反応系における機能性微生物の挙動と相互作用を明らかにする。最終的にシステム全体の処理水質を把握するとともに、各ユニットにおける微生物群集構造や反応活性を明らかにする。
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