研究課題/領域番号 |
22F21389
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
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研究分担者 |
AZAD MD THOUFIC 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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キーワード | マラリア / 転写制御機構 |
研究実績の概要 |
赤血球を寄生ターゲットとするマラリア原虫は、内側から赤血球を様々に作り変え、自身の増殖を維持する。赤血球に感染したマラリア原虫は、原虫内部で蛋白質を合成し、寄生細胞である赤血球の細胞質へと輸送する。さらに、赤血球内に“マウレル裂”と呼ばれる独自の小胞状のオルガネラを形成し、原虫由来の分泌蛋白質はこれらのオルガネラの中に放出される。マウレル裂は、原虫由来膜と原虫及び宿主の蛋白質からなる高次膜構造体であり、原虫の増殖に不可欠な栄養素の取り込みのみならず、原虫由来の病原性蛋白質PfEMP1の赤血球表面への輸送等、感染赤血球内での蛋白質輸送系として働く。この蛋白質輸送系を使って感染赤血球膜上に提示されたPfEMP1等の原虫蛋白質は、毛細血管壁や他の感染赤血球、非感染赤血球に結合して“ロゼット”と呼ばれる細胞塊を形成することで血管を閉塞し、多臓器不全を引き起こすことで重症化へと導く。 本年度は、マラリア原虫の赤血球内感染ステージにおける原虫の転写制御機構を明らかとするため、まず原虫の赤血球侵入から経時的にRNA-seq解析を行った。熱帯熱マラリア原虫の赤血球内感染ステージでは通常48時間ごとに赤血球に侵入、増殖、破壊を繰り返す。本実験では同調培養した原虫を用いて、赤血球侵入後8時間ごとに6サンプルを実験材料とした。これらの原虫サンプルを用いて、各赤血球内感染ステージごとの原虫の転写制御機構の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熱帯熱マラリア原虫を用いて、遺伝子欠損変異虫体(ノックアウト原虫)を作出を試みているが、うまくノックアウト原虫が取れてこない。一方で原虫の転写制御解析を行っており、RNA-seqは実施できており、現在解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入時から経時的に行ったRNA-seqの実施結果を解析し、原虫のゲノム編集の解析を行う予定である。これにより、マラリア原虫の赤血球内での独自の転写制御機構を明らかにする予定である。
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