研究課題/領域番号 |
22F22713
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西村 太志 東北大学, 理学研究科, 教授 (40222187)
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研究分担者 |
DUMONT QUENTIN 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-09-28 – 2025-03-31
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キーワード | 地震波速度変化 / 火山 / ひずみ量 / 降雨量 / モニタリング |
研究実績の概要 |
多様な活動をする火山を理解するためには、地下のマグマ貫入や熱水活動を把握することが必要である。GPSなどを使った測地観測や火山性地震を調べる方法が一般的であるが、本研究では、火山体浅部の地震波速度をモニターすることにより、火山活動の把握や理解を試みる。国内21火山において、常時観測される雑微動を利用した地震波干渉法によって地震波速度変化を求め、テクトニクス背景を考慮しながら、火山体浅部の火山活動により生じる応力場との相関を調べる。このようなモニタリングの手法を開発することにより、将来発生する噴火現象や静穏期の火山活動の理解を深める。 具体的には、気象庁が公開する火山近傍に展開する観測点の地震波形データを解析に用いる。短周期地震計データを利用することから、0.5-1 Hz, 1-2 Hz, 2-4 Hz 帯を対象に日々の連続データについて、2観測点のデータの相互関数を計算し、地下浅部の地震波速度の時間変化を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年から2021年の10年間のデータから推定された地震波速度変化に対して、降雨量、積雪量、気温、大気圧と海水面の変化に加え、気象庁と国土地理院のGNSSから求められる面積ひずみの要因と比較した。各火山の平均的な速度変化の時間変化について、それぞれの要因で線形インバージョンし、各要因の効果を定量的に求めた。今回は、明確な速度変化が得られている浅間山などについて、それぞれの周波数について、各要因の効果を調べた。例えば、浅間山の0.5-1Hz帯では、降雨による間隙水圧の効果が約50%程度の速度変化量を、ひずみ量は約40%となるのに対し、1-2Hz帯では気温が50%、間隙水圧が25%、ひずみ量が20%程度と求められた。
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今後の研究の推進方策 |
浅間山のデータの予備的な解析から、地下浅部の地震波速度変化に影響を与える要因を定量的に記述できることが示された。ひずみ量の変化はマグマや熱水上昇により生じる可能性が高いことから、降雨量などの他の要因を差し引くことにより、火山噴火活動の先駆現象を検知できることが示唆される。また、ひずみ量を含む上記の要因の効果をすべて差し引いても残る速度変化量は、例えば、他の観測データから要因の効果として入れることができない現象、たとえば、火山性ガスの上昇などによるものと考えることができる。 今後、21火山のデータについて、各要因の降下量を系統的に比較検討することで、地下浅部の速度構造変化の要因やメカニズムについて考察を加える。
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