研究課題
2022年度にダム貯水池(横川ダム、大柿ダム)および沿岸海域(新田川、太田川、請戸川の河口付近)の底質の分析を行った。横川ダムの底質では表層から深度14cmまで約12 ~18 kBq kg-1の137Cs濃度が測定され、20cmで約38 kBq kg-1のピークとなり、その下層にかけてばらつきを示しながら30cm付近まで低下の傾向を示した。大柿ダムでは深度9 cm付近にかけて40~50kBq kg-1の137Cs濃度が測定され、深度15cmにかけて上昇し、約170 kBq kg-1の濃度ピークを示し、が見られ、浅層にかけて137Cs濃度が低下する傾向が見られた。いずれにおいても、137Cs濃度ピークが見られた。いずれの底質においても、深部に137Cs濃度が見られたことから、これらのダム貯水池における土砂の堆積履歴を復元可能であると考えらた。沿岸海域の底質における137Cs濃度は請戸川河口付近で採取された底質nの深度40cmにおいて測定された5 kBq kg-1が最高であり、ダム貯水池の底質の137Cs濃度より1~2オーダー程低い値を示していた。このことは河川を通じて陸域からもたらされた土砂が沿岸海域に流入した際に、拡散あるいは希釈されていることを示唆している。土砂供給源として想定される、森林・農地・除染地で採取した土壌の137Cs濃度は0.025 ~70 kBq kg-1と幅があり、とくに除染地で低いことがわかった。今後、粒度分析や蛍光X線分析等の詳細分析により、採取した底質および土壌試料の性状の把握を行い、土砂と137Csの蓄積プロセスの記述と土砂供給源の寄与率とその時系列変化の推定を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
2022年度に取得した底質試料、土砂供給源で採取した土壌試料の分析は予定通り進行している。土砂供給源推定のための137Cs以外の項目の分析、データ統計処理の方法の設定についても進捗しており、研究期間終了までの完了が見込まれる。
2023年度に取得した底質および土壌試料の蛍光X線分析、炭素含量測定、粒度分析などの分析・測定を行っていく。得られた測定データをもとに統計処理を行い、トレーサー値の選定を行い、Unmixiingモデルによる各土砂供給源からの土砂・137Cs流出寄与率およびその時間変化の推定を進めていく。
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