研究課題
本研究課題は、X線CT装置を用いてイメージングの技術開発を行うことが目的である。撮影実験に用いる研究材料は東京大学総合研究博物館に収蔵されている様々な生物試料を用いる他、新規に沖縄県の野外で採集した。2022年6月にはSPring-8のCT装置を用いた撮影実験を行い、位相コントラストX線イメージングにより、貝殻付きの軟体動物の動物体のCT撮影においてコントラストを大幅に向上できることを明らかにした。SPring-8の放射光ビームラインBL20B2のモノクロメーターを用いて、6種の軟体動物(アサリ、ヒバリガイモドキ、アマオブネガイ、イボウミニナ、ハナビラダカラ、マダライモガイ)を撮影し、X線位相コントラストが軟組織のコントラストを高めることを示した。特に、鰓や歯舌など従来のマイクロCTでは全く見えなかった殻内の動物体の特徴が鮮明に撮影できた。さらに、この手法では、貝殻の内部の成長輪の特徴を明らかにし、方解石とアラゴナイトの殻層を区別できる例があることが分かった。この成果は2023年4月に投稿した。
2: おおむね順調に進展している
以前投稿中であった論文1編は出版され、新規に1編を投稿中である。
今後は、新しいサンプルの入手、ラボCTによる撮影実験を行いながら、シンクロトロンCTを用いた撮影実験を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 120(1) ページ: p.e2210214120
10.1073/pnas.2210214120