本研究は2021年度から2023年度にわたって遂行された。 初年度には、文献調査を中心とした理論研究が進められた。東京を対象とする都市論には長い伝統があり、また近年の環太平洋文化論や持続可能性の文脈で東京の位置付けや評価は劇的に変化しているため、広範な分野にわたる文献が調査された。日本の諸都市のなかで東京がもつ文化的・経済的特殊性についても検証がなされた。第二年度は、フィールドリサーチが行われた。その対象は主に東京都内でランドマークや都市表象のメルクマールとなっている各地域や施設である。また「東海道」という、東京をその起点とする日本特有の都市間ネットワークについても歴史的・経済的・社会的観点から調査が行われた。最終年度には、研究成果を総合し、研究発表および研究論文の執筆が行われた。 本研究を通じて明らかにされたことは「都市の構造とインターネット空間関係の再定義」「新たな社会的モダリティの出現」「バーチャル化した都市空間における適応的存在としての身体」「デジタルと物質の相互作用の直接的な釣り合い」「都市の拡張現実を指示するものとしての情報コミュニケーション技術とニューメディア」である。 外国人特別研究員と受入研究者の共同研究の成果発表には「サイバーパンク形象のイコノロジーとイコノグラフィー(Iconology and Iconography of Cyberpunk Imagery)」(2022年)や「物質とバーチャルの間における身体と都市(Body and City Between Material and Virtual)」(2022年)、「都市景観と身体景観(Cityscape and Bodyscape)」(2023年)が含まれる。
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