研究課題/領域番号 |
22F21316
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西澤 篤志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90569378)
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研究分担者 |
KARMAKAR PURNENDU 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 一般時空幾何 / 重力波 / 観測的検証 / テレパラレル重力理論 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、一般相対性理論を拡張した時空幾何の可能性を重力波観測を通して検証することである。一般相対性理論では時空は計量によって特徴付けられるが、一般には時空の捻れや非計量性を含む時空幾何へと重力理論を拡張することが可能である。このような理論はこれまであまり注目されておらず、観測的検証も不十分であった。そこで、我々は本研究の第一段階として、一般時空幾何のあるクラスの重力理論、対称テレパラレル幾何理論を重力波伝播を用いて検証することにした。フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー背景時空周りで理論を摂動展開し、STG 理論における重力波の伝播方程式を導出した。その次の段階として、対称テレパラレル幾何理論の検証すべきモデルをある程度特定する必要があるが、我々は宇宙の膨張則や非一様性などの観測データを説明できる一連のモデルを特定した。一方、対称テレパラレル幾何理論は他にも2つの理論ブランチが存在することが知られているが、それらについての研究はまだ成されておらず、宇宙観測データを説明できるかどうかは定かではない。そこで、我々は海外の専門家との共同研究によりそれらの理論ブランチが現実宇宙を記述するかを確認しようとしている。重力波の伝播による観測的検証のための計算コードはフィッシャー情報行列を用いて開発を行った。現在、先行研究の理論予言の結果を再現するのと同時に、重力波観測データへの適用について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行による入国制限のため、我々は少し遅れて研究を開始した。そのため、研究開始から初期の段階で、他の研究グループが既に我々の研究計画の一部、重力波伝播を用いた対称テレパラレル幾何理論の検証についての理論予測を論文として発表してしまっていた。我々はそれらの結果のいくつかについて確認し研究計画を修正する必要があったため、結果的に当初予定した計画よりも遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始から初期の段階で、他の研究グループが既に我々の研究計画の一部、重力波伝播を用いた対称テレパラレル幾何理論の検証についての理論予言を論文として発表してしまったため、我々はそれらの結果について確認し、重力波観測データを用いた理論の検証を当初の計画より早めて実施することにした。そのための重力波観測データは既に利用可能なもの(連星中性子星合体からの重力波観測データ GW170817)を用いることにした。また、先行研究によってまだ調べられていない、対称テレパラレル幾何理論の他の2つの理論ブランチについても調べることとし、宇宙論的に適用可能である場合、LISA、Einstein Telescope、Cosmic Explorer などによる観測的制限について理論予測を行う。
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