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2023 年度 実績報告書

中国における金融の発達と女性の被負債問題

研究課題

研究課題/領域番号 22KF0088
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

丸川 知雄  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)

研究分担者 LI YAJIAO  東京大学, 社会科学研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード中国 / 女性 / 民間金融 / 被負債
研究実績の概要

本研究は、高度成長を終えた中国の被負債女性たちの事例を通して、中国経済の金融化によるジェンダー化された収奪のプロセスと特徴を描き出した。特に、女性が民間金融の共同借り手にさせられやすい理由を明らかにした。
フォーマル金融の民営企業への差別化、性別職業隔離によって、民間金融の借り手にジェンダー非対称性をもたらした。民間金融の業者は、借り手・男性が返済不能になることを予見し、24条に基づいてあらかじめ借り手の妻――経済的独立な女性――の安定な仕事、不動産、収入を目当てにしていた。24条のもとで、夫婦それぞれの資産の保有が夫婦共同体の資産と捉えられるので、男性への包摂はさらに男性の妻に対する過剰包摂を促した。つまり、男性が包摂されると、24条のような家族主義の法律は女性に不利に働きかけた。
さらに、民間金融は、最高人民法院の民間貸借に対する宥和的な規定を利用し、高い金利を手に入れる。民間金融組織は女性側を24条で起訴する時、法人ではなく、自然人を偽装し、借金返済を請求する。こうして、民間金融組織は、人民法院の判決を通して女性側から合法的に金利と元金をとることができた。女性の資産と収入が奪われた。
2018年以降、金融危機の発生を回避するために、中国当局は債務削減や非合法融資取り締まりを行った。そして、24条公益グループによる法改正運動によって24条の廃止も果たされた。つまり、中国型の過剰包摂(中産階級の女性)の法的措置が外され、デレバレッジができた。24条の廃止はデレバレッジの法改正と言える。しかし、フォーマル金融の民営企業への差別化、性別職業隔離はまだ改善されていなかったため、民間金融の借り手のジェンダー非対称性をもたらす可能性が残されたままである。24条が削除されたにもかかわらず、民法典の規定によって、家庭共同性は、生活範囲から経営範囲まで拡大された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 農村女性、土地公有制及び人民公社――『中国婦女』への考察を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      李 亜コウ
    • 学会等名
      アジア政経学会2023年度春季大会
  • [学会発表] 歴史と政治経済学の視点からみる中国の「農嫁女問題」2023

    • 著者名/発表者名
      李 亜コウ
    • 学会等名
      立教大学ジェンダーフォーラム第89回ジェンダーセッション
  • [学会発表] ジェンダーの視点から見る民間金融と中国型過剰包摂――被負債女性の事例を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      李 亜コウ
    • 学会等名
      日本フェミニスト経済学会2023年度大会
  • [学会発表] The Development of Private Financial Institutions and Over-inclusion in China2023

    • 著者名/発表者名
      Li Yajiao
    • 学会等名
      ISA Asia-Pacific Region Conference 2023
    • 国際学会
  • [図書] 中国と日本における農村ジ ェンダー研究― 1950・60 年代の農村社会の変化と女 性―2024

    • 著者名/発表者名
      大橋史恵、南 裕子、堀口 正、岩島史編(李亜コウ分担執筆)
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      4771038287

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公開日: 2024-12-25  

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