研究課題/領域番号 |
22KF0092
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
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研究分担者 |
DAVIN ADRIAN 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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キーワード | 古代ゲノム / マイクロバイオーム / NGS / 系統 / 遺伝的近縁性 / ヒト / バクテリア / 病原性細菌 |
研究実績の概要 |
本研究は古人骨から得られた全ゲノム情報の解析をおこない、古代人の食性・健康・行動を明らかにすることを目的とする。古人骨から得られるゲノム情報には、その個体由来のゲノムと死後、古人骨に入り込んだバクテリアのゲノム情報の両方を含んでいる。従来の研究では古人骨由来のゲノム情報からその個体の系統などの情報を得ていたが、本研究ではバクテリアのゲノムにも着目する。古人骨から得られるゲノムには、その個体が生前に感染した病原体のゲノムが含まれる可能性があるからである。外国人特別研究員のDr Adrian Davinは(1)縄文人と北東アジア少数民族との関連、および(2)南米ボリビア出土人骨のマイクロバイオーム解析を進めた。
(1)既出の縄文人ゲノム配列データをわれわれの研究チームが全ゲノム解読したニブヒ族を含む北東アジア地域に住んでいる少数民族のゲノム配列情報と比較した。PCAプロットおよび系統樹を作成し、古人骨と現代人の遺伝的近縁性を視覚化したところ、漢民族を中心とする集団規模の大きな東アジア大陸の農耕民族を含むクラスターに対し、北東アジア少数民族は異なるクラスターを形成した。縄文人は後者に含まれた。
(2)ボリビアの3つの時代(プレ農耕期、農耕初期、農耕発展期)からの古人骨について全ゲノム解読をおこなった。得られたNGSリードをヒト由来の塩基配列とバクテリア由来の塩基配列とにわけて分析をおこなった。既出の現代南米ヒト集団のゲノム情報をもちい、これにボリビア古人骨由来のゲノム配列データを合わせてPCAプロットおよび系統樹を作成した。つづいて、バクテリア由来のNGSリードを集めて個々のバクテリア種のアセンブリ配列を作成した。数種のバクテリア種のアセンブリに成功し系統樹解析を行ったが、病原性のあるバクテリアは検出されなかった。今後さらに、古人骨の系統関係とバクテリアの関係について詳細な解析を行う。
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