研究課題/領域番号 |
22F31073
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 剛 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (60404802)
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研究分担者 |
LI XINGXIN 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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キーワード | 最近傍検索 / プライバシ保護 / 機械学習 / マルチパーティ計算 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、プライバシ保護機能付き機械学習(PPML)に向けた効率的なマルチパーティ計算(MPC)の構築を目指す。従来の方式では結託攻撃に対して耐性のある方式は汎用的なMPCを用いており、プライバシ保護機能付き機械学習に適応する際には計算処理量が多くなる問題点があった。本提案では、通常の計算環境を持つデータ提供者が、計算資源が豊富な計算サーバとサービス提供者に対して委託計算を行うヘテロジニアスなMPCを構成する。特に、高速実装可能となる2者結託攻撃に対して安全な3者計算を基本構成単位とするプロトコルにより計算の効率化を目指している。
また、機械学習で使用されるデータは高次元かつ疎であるが、既存のプライバシ保護機能付き機械学習ではスパース性を考慮されていない問題点があった。本研究は、データの疎性を利用した安全な行列乗算プロトコルを考察する。特に、紛失通信による鍵保存と等価回路テストを組み合わせることにより、非零データの要素を取得するプロトコルを提案する。提案方式により、取得した非零データの情報を用いることにより、入力データの次元に依存しない行列計算が可能となる。さらに、マルチパーティ計算において能動的な攻撃者に対する個人識別性に関する考察を行う。Barreto-Libert-McCullagh-Quisquater署名を分散型に拡張して、鍵生成における結託攻撃およびDoS攻撃に対して耐性のある方式を構成して、適応的選択平文攻撃に対して存在的偽造が不可能な分散署名の実現を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、プライバシ保護機能付き機械学習(PPML)の暗号プロトコルの効率性を改善する方式を提案し、ジャーナル論文誌Frontiers of Computer Scienceに掲載されるなど順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
プライバシ保護機能付き機械学習(PPML)の研究を引き続き継続して、データを集約せずに分散した状態を考慮した連合学習への応用を検討する。連合学習のプライバシ保護では、複数のユーザが所有する分散データを他の参加者に漏らすことなく、第三者により管理されたサーバを用いた分散学習方式の構成を目指す。特に、参加者の属性を利用した結託攻撃に対する差分プライバシを実現する方式を考察する。また、差分プライバシを考慮した連合学習では、計算負荷の高いノイズの追加が必要となったが、FM sketchやLoglogなどのスケッチ法と組み合わせることにより、属性を利用した結託攻撃に対しても安全となるPPML方式の構成を目標とする。
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