研究課題
本研究課題では、プライバシ保護機能付き機械学習(PPML)に向けた効率的なマルチパーティ計算(MPC)の構築を目指す。従来の方式では結託攻撃に対して耐性のある方式は汎用的なMPCを用いており、プライバシ保護機能付き機械学習に適応する際には計算処理量が多くなる問題点があった。2023年度は、通常の計算環境を持つデータ提供者が、計算資源が豊富な計算サーバとサービス提供者に対して委託計算を行うヘテロジニアスなMPCを構成した。特に、高速実装可能となる2者結託攻撃に対して安全な3者計算を基本構成単位とするプロトコルにより計算の効率化を実現した。本成果は、2023年度にジャーナル論文誌Frontiers of Computer Scienceに掲載された。また、プライバシ保護機能付き機械学習(PPML)において、プライベートデータのマッチングと計算に関する既存の研究の多くは、各参加者の計算リソースとデータサイズが同じであることを前提としており、へテロジニアスの計算環境には最適化されていない。 2024年度は、安全なk-最近傍(NN)クエリに対して暗号化後にインデックスが作成となる方式を提案した。具体的には、クラウド内の暗号化されたデータベースと暗号化されたクエリポイントを変換するための新しいアルゴリズムを提案した。 提案手法は、空間データ構造を使用して変換されたデータベースにインデックスを付けることで、安全なk-NNクエリを劣線形時間の計算量で実現し、ユーザーが暗号化されたデータベースの動的更新が可能となった。本成果は、2023年度にジャーナル論文誌Frontiers of Computer Scienceに掲載された。更に、準同型ロバスト特性保持ハッシュ(HRPPH)を考察し、完全圧縮特性と数え上げ可能な特性を有する2種類のHRPPH構築を提案した。特に、完全な圧縮特性を実現するために、HRPPHに基づいたマルチパーティのプライベートセット交差プロトコルを提案した。本成果は国際会議ISC2023で発表した。
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Frontiers of Computer Science
巻: 18(1) ページ: 1-12
10.1007/s11704-022-2401-1
The 26th Information Security Conference
巻: LCNS14411 ページ: 537-556
10.1007/978-3-031-49187-027