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2022 年度 実績報告書

100テスラ超強磁場におけるRF電磁波吸収によるマヨラナフェルミオン励起

研究課題

研究課題/領域番号 22F22332
配分区分補助金
研究機関東京大学
受入研究者 松田 康弘  東京大学, 物性研究所, 教授 (10292757)
外国人特別研究員 ZHOU XUGUANG  東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-11-16 – 2025-03-31
キーワードキタエフ量子スピン液体 / マヨラナフェルミ粒子 / 超強磁場
研究実績の概要

2022年度はRF電磁波発信受信プローブの開発を中心に研究を行った。室温環境でプローブを超強磁場に対応させるため、一巻きコイル超強磁場発生装置を用いて、140 T程度までの磁場中における電磁誘導ノイズの評価を行った。RF電磁波発信受信測定装置は新規に作成し、発信器、増幅器及びプローブを構成単位として装置全体を構築した。装置開発において発信器、増幅器、フィルターと低温用同軸ケーブル等の電子装置および電子部品は一般的に 耐用年数が数年あるが、本課題では破壊型パルス磁場環境で実験するため、一巻きコイルの破壊、及びパルス磁場発生中の電磁ノイズの影響によって、それぞれの電子部品がプローブを通して容易に測定系を損傷することが予想された。しかし実際には、適切な電磁シールドと、電源から混入するグランドノイズをノイズフィルタトランスで抑制することで、十分安定して装置を稼働させることが可能であることを確かめた。研究対象であるマヨラナフェルミ粒子はトポロジカル秩序において最も重要な概念の一つであり、その実現と物理的振る舞いの研究は非常に重要になっている。 近年、実験的および理論的研究により量子スピン液体または近藤絶縁体でマヨラナフェルミ粒子の実現が可能と予測されているが、本年度は、キタエフ量子スピン液体が強磁場中で実現すると予測されているα-RuCl3 について100 Tまでの磁化測定を行った。RF電磁波吸収実験に先立ち、結晶の品質が磁場中で変化する可能性にも配慮し、詳細な磁化過程を精密に測定することで、中間磁場領域におけるスピン液体の出現について十分な確証を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

適切なフィルターやシールドを用いることで測定装置の電磁ノイズ耐性を上げることができることが分かり、順調な開発が行えていると判断される。また、キタエフ量子スピン液体の候補物質で、これまでにない100 Tの強磁場領域でスピン液体相を示唆する結果を磁化測定から得られたことは、本研究において大きな成果とみなせる。

今後の研究の推進方策

α-RuCl3の成果について論文を出版し、また、別の物質においても同様にマヨラナ粒子出現の証拠を磁場中で得る。RF電磁波吸収実験を開始し、スピン液体相で期待される連続励起を観測する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Intermediate Quantum Spin Liquid Phase in the Kitaev Material α- RuCl3 under High Magnetic Fields up to 100 T2022

    • 著者名/発表者名
      Xu-Guang Zhou, Han Li. Yasuhiro H. Matsuda, Akira Matsuo, Wei Li, Nobuyuki Kurita, Koichi Kindo, Hidekazu Tanaka
    • 学会等名
      物理学会

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公開日: 2024-12-25  

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