研究課題
電磁波発信受信プローブの開発を継続して行い、低温環境でプローブをマイクロ秒のパルス幅の破壊型超強磁場に対応させるため、電磁ノイズ対策などの開発を行った。破壊型パルス磁場の発生については 、既存の電源設備である一巻きコイルを用い、140テスラまでの実験を行った。RF電磁波発信受信測定装置を新規に作成し、試験的な実験を行った。磁場発生は破壊を伴い、 また早い磁場掃引にともなう誘導電流の問題をさけるため、機械的強度の確保をしつつ非金属であることが必要であり、導波管には十分注意を払い、高効率のRF伝送を実現する見込みを得た。具体的には、透過配置で100 GHz帯の高周波吸収測定系の試作を行った。同時に低温環境において 、RuCl3と同様にキタエフスピン液体状態の実現が期待されるNaCoTeOを対象に、100 Tまでの強磁場下で、様々な磁場角度において磁化測定を行った。その結果、ハニカム面に磁場を垂直に印加した場合に中間磁場領域でマヨラナギャップの形成におけるスピン液体状態の実現を示唆する結果を得ることができた。RuCl3で得られているこれまでの結果と整合し、磁場誘起スピン液体状態がハニカム面に垂直方向の磁場により誘起される現象が普遍的であると言える。また、YbB12については、RF電磁波応答について予備的測定を行った。マヨラナフェルミ粒子が磁場中で思い電子に変化する磁場領域の確認を行った。YbB12とキタエフ物質の比較から、重い荷電フェルミ粒子と中性マヨラナフェルミ粒子との関係の解明につなげる。
2: おおむね順調に進展している
磁場誘起スピン液体状態をRuCl3に加えて。NaCoTeOについても見いだせたことは、当初の計画を超えて、マヨラナフェルミオンの性質の解明に大きく進展をもたらすと期待できる。RF電磁場吸収システムの構築も順調に推移しており、計画は順調に進んでいると判断できる。
RuCo3,NaCoTeO,について、キタエフスピン液体相における連続励起、及び、YbB12についてマヨラナ粒子から重い荷電粒子への変化について、RF電磁波吸収測定から検出し、本研究の成果のまとめを行う。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Nature Communications
巻: 14 ページ: 5613 1-7
10.1038/s41467-023-41232-7