研究課題/領域番号 |
22F22759
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
受入研究者 |
鈴木 雄治郎 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30392939)
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外国人特別研究員 |
MARTINEZ MONTESINOS BEATRIZ 東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-11-16 – 2024-03-31
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キーワード | 火山噴火 / 火山灰 / 災害 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
爆発的火山噴火による災害予測を目的に数値シミュレーション研究を実施している。特に、イタリアのカンピ・フレグレイ火山の40万年前の大規模噴火について噴火条件と火山灰降灰分布について明らかにすることを目的にしている。そのため、火山噴煙の3次元モデルSK-3Dと広域の大気状態を含めた火山灰の移流拡散モデルFall3Dを用い、数値研究を推進した。 SK-3Dで得られる大気中の火山灰分布データはFall3Dの初期条件になり得る。そのため、研究分担者である外国人特別研究員は、研究代表者がこれまでに開発したSK-3Dのセットアップ方法を学んだ。研究代表者はSK-3Dを用い予備シミュレーションを実施した。Fall3Dの初期条件を得る前段階として、SK-3Dによる火山灰粒度分布の1次元プロファイルの解析とプロットを開始するためのいくつかのpythonスクリプトを研究分担者が作成した。一方、Fall3Dを用いたカンピ・フレグレイ火山の噴火を想定した予備計算も行った。更に、本計算に必要な噴火条件や大気条件を絞り込むための計算結果の予備処理を、東京大学情報基盤センターの大型計算機で行った。地質調査から得られた過去の降灰分布、噴火速度、噴火時間、噴火時の気象条件と計算結果を比較することで、噴火源パラメータの改善方法を検討した。 本年得られた結果について、次年度に開催される日本地球惑星科学連合大会(JpGU)、アジアオセアニア地球惑星科学学会(AOGS)で発表アブストラクトを投稿し、それらは受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模火山噴火の火山灰輸送メカニズムの解明のため、噴煙ダイナミクスモデルと移流拡散モデルの結合を目指した研究を実施している。本年度はそのための準備研究を予定していた。噴煙ダイナミクスモデルと移流拡散モデルの両方の予備計算を行ったこと、噴煙ダイナミクスモデルの解析を予定どおり進められた。また、本年度進展した結果について次年度開催される国際学会での発表要旨の投稿まで至った。 以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、Fall3Dシミュレーションによって大気条件の絞り込みを行う。そのため、FALL3Dの予備計算結果からSK3Dの新しいシミュレーションを実行するための初期条件を抽出する方法、SK-3Dの計算結果からFALL3Dの新しいアンサンブルを実行する方法について、引き続き検討を行う。SK-3Dは計算機資源を多く使用するため、将来の噴火災害予測にも利用できる火山噴煙ダイナミクスの一次元モデルについても検討を続ける。これにより、噴火や気象条件を想定して、火山噴煙の広がりや降灰を短時間で予測できるシステムの構築を目指す。
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