本研究は、上下方向にも再生チャンネルを持つ三次元音響再生システムを用いたコンテンツ制作をより効果的におこなうための制作手法を検討する。中でも本研究では,22.2マルチチャンネル音響やSony360 Reality Audioで用いられている下層の再生チャンネルの効果について調べることを主たる目的としている。 2021年度、2022年度は、奏楽堂でのオルガン収録やスタジオにおける和太鼓のアンサンブルの録音を実施し、聴取実験のための音楽コンテンツを制作した。2022年度はこれらの音源と九州大学から提供された屋外の録音も含めた合計7種類の音源を用いて、下層のスピーカを用いた場合と用いない場合との印象の違いについて比較実験を実施した。実験は、本学の22.2の再生が可能な中型のスタジオと小型のスタジオ、そして九州大学の半無響室の3カ所でおこない、それらの結果を比較した。実験の結果から、下層の再生があることで低音のエネルギーが大きくなることがわかった。2023年度は、これらの実験結果を8月に行われたAudio Engineering Society の国際学会で発表した。また同内容をAESのジャーナル(査読付き)に投稿し、2024年4月号に採録された。
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