研究課題/領域番号 |
22F22043
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
|
研究分担者 |
ELSHEIKH AMMAR 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2024-03-31
|
キーワード | 太陽熱蒸留技術 / 新機能性材料 / 淡水化収量 / 装置設計デザイン |
研究実績の概要 |
本研究では、再生可能エネルギーである太陽熱を利用して海水淡水化可能な太陽熱蒸留技術の開発に取り組む。特に、集光性や伝熱性の高い新機能性材料を開発・活用することで、蒸留プロセスの高度化と淡水化収量の増加を図るとともに、淡水化収量の高い蒸留装置デザイン設計を行う。研究初年度は、太陽エネルギーを効率よく吸収する新規材料として、可視光や近赤外光の吸収特性が高いナノ粒子や複合体を複数の方法で合成した。具体的には、キトサンや酸化グラフェン、ニッケルなどを原材料としナノ粒子ならびに複合体を調子した。キトサンナノ粒子の合成では、酢酸やトリポリリン酸ナトリウムなどを用い、酸化ニッケルナノ粒子は塩化ニッケル六水和物や水酸化ニッケルなどから合成された。また、ナノ粒子の複合材の合成も行い、合成されたナノ粒子を適量水に添加し(例えば、0.1%など)、ナノ流体を作成した。合成されたナノ材料は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)分析、X線回折法(XRD)分析、走査電子顕微鏡(SEM)分析ならびにエネルギー分散型X線分光法(EDX)分析などにより物性分析された。特に、キトサン-酸化グラフェン複合体は、他のナノ粒子と比較して高い吸光性を示すことが明らかとなった。従って、太陽熱蒸留の新機能性材料として有効であることが示唆された。一方、効率的な太陽熱蒸留装置の設計という観点から、複数の装置デザイン設計を行い、また、予備的な熱・物質移動シミュレーションを実施することで、階段型蒸留装置などがより効率的な太陽光吸収・淡水化収量を可能とするということが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していたナノ材料の合成と物性評価、ならびに、効率的な蒸留装置設計の一部を実施することができ、概ね順調に進んでいると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として、気象条件などを加味した蒸留装置の設計・運転最適化、新規材料を活用した蒸留試験などを実施する予定である。
|