研究課題/領域番号 |
22KF0139
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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研究分担者 |
ELSHEIKH AMMAR 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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キーワード | 海水淡水化 / 太陽熱蒸留器 / 蒸留装置デザイン / 相変化材 / 余剰熱貯蔵 |
研究実績の概要 |
本研究では再生可能エネルギーである太陽熱を利用して海水淡水化可能な太陽熱蒸留技術の開発に取り組んだ。特に、集光性や伝熱性の高い新機能性材料を活用することで、蒸留プロセスの高度化と淡水化収量の増加を図るとともに、淡水収量の高い蒸留装置デザイン設計を行うことを目的とした。複数の異なる太陽熱蒸留器(Solar Still:SS)のデザイン設計を行った。具体的には、蒸留塔、改良ダブルスロープ型、エアキャビティ付き太陽熱蒸留器、階段型SS、木質系蒸気発生装置型SSなど複数の蒸留装置を設計した。それぞれについて淡水収率やエネルギー効率化を算定した結果、蒸留塔ではコストや利用スペースの観点から優れており、また、改良ダブルスロープ型では集光・蒸発特性を促進するウィック型プリズムベイスンを採用することで従来より収水量が49%高いことが示された。エアキャビティ付き太陽熱蒸留器では、ベイスン(水槽容器)として、防錆性や熱伝導率の高いアルミニウムや比較的安価なポリカーボネートを使用し、比較検討した結果、アルミニウム製SSとポリカーボネート製SSの最大エネルギー効率がそれぞれ44%と32%となり、日射量が最大となる時間帯においてアルミニウム製SS が高い淡水収率を示すことが明らかとなった。階段型SSでは、paraffin waxやそのナノ材料混合剤を相変化材(PCM)として用いた結果、余剰熱貯蔵とその夜間利用を通して収水量の向上がみられた。具体的には、PCM を活用した階段型SSでは、総収水量が7.8-8.0 L(夜間収水量は1.4 Lから1.7 L)となり、従来の階段型SS(総水量3.4-3.9 L、夜間水量0.3-0.4 L)と比較しても最大で2倍程度の効率化が示された。
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