研究課題/領域番号 |
22F22345
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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研究分担者 |
ALI MANAL 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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キーワード | 嫌気性消化 / バイオガス / 畜産系廃棄物 / バイオ炭 |
研究実績の概要 |
家畜糞尿などの有機性廃棄物の嫌気性消化において、バイオガスの生産(水素やメタンガスの生成を促進するとともに基質の分解や新興汚染物質の除去などを向上させることは技術上重要な課題である。本研究では、嫌気性消化においてバイオ炭や活性炭、グラフェンを含むカーボン材料を活用することで、上述の処理向上・効率化を図る。研究初年度では、特に粉末活性炭、多層カーボンナノチューブ、グラフェンに着目し、バイオガス生成やその基礎となる嫌気性微生物群に及ぼす影響について調べた。電子顕微鏡やフーリエ変換赤外分光法によりカーボン材料の物性分析も併せて実施した。結果の一例を示すと、グラフェン30mg/Lや粉末活性炭100mg /Lの添加系において、メタン生成量がそれぞれ約28%および約27%の改善を示した。上述のカーボン材料が特に高い濃度の場合は生成量が下がったことから、カーボン材料が有する導電性により微生物間の電子伝達が促進される一方で、カーボン材料が潜在的に有する毒性の影響も示唆された。さらに、嫌気性消化プロセスに関わる微生物叢解析では、共起ネットワーク解析を実施し、バイオガスの生産性向上に寄与すると考えられる微生物叢の抽出を行った。以上のカーボン材料に加え、畜産系廃棄物由来のバイオ炭をニッケルフェライト粒子で修飾した新たな機能複合材の開発準備にも着手した。上記の合成プロセスでは、水熱温度や粒子添加量などの反応条件を制御することで、導電率、表面積など物性の異なるバイオ炭の精製を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
嫌気性消化系への既存のカーボン材料添加によるバイオガスの生産性への影響評価や、畜産系廃棄物由来バイオ炭のニッケルフェライト粒子修飾に関わる実験への着手、など研究初年度の計画通りおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度は、畜産系廃棄物由来バイオ炭のニッケルフェライト粒子修飾に関わる実験の実施とその物性解析を行うとともに、畜産系廃棄物を基質とする嫌気性消化系における性能評価試験を実施する。
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