研究課題/領域番号 |
22F22093
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
受入研究者 |
松川 真吾 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30293096)
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外国人特別研究員 |
YANG XI 東京海洋大学, 学術研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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キーワード | カラギーナン / 大豆タンパク / 大豆オリゴペプチド / 動的粘弾性測定 / マイクロDSC / NMR測定 / 微粒子追跡法 / 静電相互作用 |
研究実績の概要 |
多糖/タンパク質混合ゲルにおける物性発現のメカニズムの研究を行った。多糖としては添加するカチオンの種類と添加量によって粘弾性特性のことなるゲルを作成する出来るカッパ型カラギーナン(KapCar)を用い、タンパク質としては代替肉を念頭に大豆タンパク(SoyPro)及び大豆タンパクの部分加水分解物(SoyPep)を用いた。 KapCarとSoyProの混合溶液では静電相互作用が強すぎるために有効な網目構造の形成が達成できずに凝集・沈殿を生じてゲル化は見せなかった。一方、KapCarとSoyPepの混合溶液では静電相互作用が効果的な華僑領域形成を促し、透明で強固なゲルを形成することが出来た。溶解状態のカッパ型カラギーナン鎖がSPepの大豆オリゴペプチドと静電的な相互作用を持ちながら3次元網目構造を形成したと考えられる。この網目形成時には、水素結合による凝集構造が形成されていることがマイクロDSC測定結果から明らかになり、さらに、NMR測定からはカラギーナン鎖の分子運動性の抑制されていることがわかった。また、蛍光微粒子追跡法によって、カラギーナン鎖に大豆オリゴペプチドを加えた混合溶液ではより緻密な網目構造となっていることが示された。 得られた成果は21st IUFoST World Congress of Food Science & Technology(Singapore)の特別セッションでの招待講演の中で一部、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Xi Yang氏は、来日後、短時間の間に申請者の研究室で行っているマクロ物性測定からミクロ物性、水素結合構造、分子運動性などの評価までの一連の研究手法を習得し、それを自らの研究テーマであるタンパク質ゲル系へと応用して、興味深い結果を得ている。 特に、陰イオン性多糖であるカッパーカラギーナンが大豆タンパク及び大豆オリゴペプチドと混合されたときに示す前者の凝集・沈殿挙動と後者のゲル化挙動を静電相互作用に結び付けて解釈した点は高く評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに習得した研究手法を存分に活用して、多糖ゲルのゲル化メカニズムについて巨視的な物性挙動とミクロ粘弾性、糖鎖間の水素結合形成と崩壊、分子運動性などを評価する。巨視的物性の評価のためには動的粘弾性測定を行い、ミクロ粘弾性、水素結行挙動、分子運動性評価はそれぞれ、微粒子追跡法、マイクロDSC測定、NMR測定によって行う。 対象とする多糖ゲルは、いまだにゲル化メカニズムが解明されていない、ジェランガムに3価のカチオンを添加した系について行う。
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