研究課題/領域番号 |
22KF0148
|
配分区分 | 基金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小関 健太 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (10649122)
|
研究分担者 |
LO ON HEI SOLOMON 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
キーワード | ハミルトン閉路 / 多面体的なグラフ |
研究実績の概要 |
多面体的なグラフにおいて (1)指定した長さの閉路を見つける, (2)十分に長い閉路を1つではなくもっと多く見つける,など,より強い性質に関しての重要な未解決問題の解決を目指すという本研究の目的に対し,逆にどのようなグラフがそのような閉路を持たないのかを考察することは,非常に重要な観点である.ハミルトン閉路を持つグラフにおいて,2つ目のハミルトン閉路を見つける手法を独立支配数を用いるものが知られているが,本年度,Lo 氏は Few hamiltonian cycles in graphs with one or two vertex degrees という題目の論文で,その手法の考察を行った.また,特定の条件を満たし,ちょうど1つのハミルトン閉路を持つグラフの構成も行っている.これらの結果は,多くのハミルトン閉路を持つための条件を与えるもので,本研究の目的に対して,大きな知見を与えるものである. また,多面体的なグラフのハミルトン閉路を考察する際には,そのグラフの連絡度が重要なパラメータとなる.例えば,球面の3-連結な多面体的なグラフでは,頂点数の線形の長さの閉路すら持たないものが存在するが,その一方で,4-連結に近い連結性を持てば,最長閉路の長さが頂点数の線形となることが知られている.そのような連結度を考察するため,特にグラフの辺連結度については,Gomory-Hu木やその拡張という形でその構造を記述できることが知られている.Lo氏は「Generalized cut trees for edge-connectivity」という論文で,さらなる拡張を与え,辺連結度の構造の解析を行っている.これも,多面体的なグラフの構造の解析に利用できる可能性があり,今後の研究につながるものであると考えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上で述べたように,2023年度には今後の研究につながる成果として,2編の論文を出版しているため,
|
今後の研究の推進方策 |
上で述べた2023年度の成果により,多面体的なグラフにおける閉路の分布の道筋が見えたため,2024年度は,この成果をもとに,指定した長さの閉路や,たくさんの閉路の存在について研究を進める. 4‐連結平面グラフ (球面の多面体的なグラフ) には,頂点数n の2乗オーダーの個数のハミルトン閉路が存在することが,近年,Liu, Wang, と Yu によって示されている.彼らの評価は,n のオーダーとしては最善であるが,その係数は最善ではないと考えられている.そのため,Lo氏と受入研究者の小関は,上記した辺連結度の構造の解析を踏まえながら,研究を進めており,いくつかの場合で一定の成果を得ている.2024年度の目標の1つは,この研究をさらに進め,最善の係数を得ることである. また,その他にも,閉曲面上の多面体的グラフに関しての研究を進める予定である.
|