研究課題/領域番号 |
22KF0155
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20610067)
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研究分担者 |
KAIPRATHU ANJALI 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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キーワード | ポリフィリン / コバルト触媒 / グラフェン / 酸化反応 / イソオイゲノール / バニリン |
研究実績の概要 |
カーボンナノチューブ上に分散担持したポリフィリン配位コバルト錯体触媒を調製し、分子状酸素を用いたフルフラールの酸化によるコハク酸合成反応に適用した。ポリフィリン環への導入官能基が異なる5種類のポリフィリン配位コバルト錯体を用いることで、導入官能基の選択により活性中心であるコバルトの電子状態制御が可能となり、更にその電子状態変化がフルフラールの反応転換率およびコハク酸の収率に大きく関与することを明らかにした。特にcobalt-tetracarboxyphenylporphyrin (CoTCPP)をカーボンナノチューブ上に担持した触媒を用いた場合、反応条件の最適化により転化率89%、収率71%を与える高活性酸化触媒となり、繰り返し使用しても大きな活性低下を示さなかった。またカーボンナノチューブからグラフェンへ炭素支持体を変更することで、より安価で汎用性のあるポリフィリン配位コバルト錯体担持触媒への改良を試みた。検討の結果、グラフェン表面を親水処理することでコバルトイオンを活性中心とするグラフェン担持ポリフィリン触媒の調製を実現した。CoTCPPを担持した改良触媒の性能についてリグニン誘導体であるイソオイゲノールの酸素を酸化剤に用いた酸化反応に適用した結果、優れた酸化触媒性能と耐久性および再使用性を具備したグラフェン担持コバルト触媒となることが明らかとなった。また開発触媒の汎用性を評価するために酸化反応とは異なる反応様式についてもその反応特性について更に検討を行い、良好な結果を得つつある。総じて本研究により、ポリフィリン錯体担持複合触媒の調製プロトコルの開発と、主に酸化的な反応手法を用いたバイオマス資源変換における有用性を明らかにすることができた。
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