研究課題/領域番号 |
22F22339
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
堂免 一成 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 特別特任教授 (10155624)
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研究分担者 |
GU CHEN 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-09-28 – 2025-03-31
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キーワード | 水分解 / 水素生成 / Zスキーム / 粉末 / 半導体 / 導電材 / 固定化 |
研究実績の概要 |
高効率な太陽エネルギー変換には可視光の利用が不可欠であり、水素生成光触媒と酸素生成光触媒を組み合わせて二段階の光励起を利用するZスキーム系が活発に研究されている。しかし、光触媒間の電荷授受に用いられる導電材やレドックス対が逆反応を起こしやすいため、全体として効率が低下しやすい。また、水分解用光触媒の大規模展開に向けては、シート状への固定化・加工など、応用形態に関しても検討を進める必要がある。本研究課題では、長波長応答型非酸化物光触媒を逆反応に不活性な炭素系導電材と組み合わせる手法や固定化する手法の検討を通じ、大気圧下で高効率かつ安定に水を分解するZスキーム型水分解用光触媒系の開発に取り組んでいる。 2022年度は、水素生成光触媒としてSm2Ti2O5S2、酸素生成光触媒としてBiVO4、導電材として各種炭素材を用いるZスキーム系を水中に懸濁させて水分解活性を評価した。炭素系導電材としてMXeneを用いた場合には水分解反応が進行しなかったが、酸化グラフェンやカーボンナノチューブを用いた場合には水分解反応が可視光下で進行した。Zスキーム系の活性はばらつきが大きかったが、試料調製条件を精査することで比較的安定した活性を得られるようになり、Zスキーム系の活性低下要因の一つが炭素系導電材を担持したBiVO4の光触媒活性が低いためであることを突き止めた。続いて、Zスキーム系を基材上に固定したが、水分解活性は懸濁時に比べて数分の1に低下したため、基材への固定化条件や活性低下要因を検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた光触媒粉末懸濁系の調製を再現し、固定化の検討に着手した。光触媒を固定化することで光触媒活性が低下したが、当初より予想されていた結果であり、実際の測定結果をもとに問題の特定を進めることができた。次年度の検討に向けた準備が整ったため、計画通り順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の検討結果を踏まえ、より高活性な酸素生成光触媒の開発、導電材として好適な炭素系導電材の探索、およびそれらの複合化手法の最適化の検討を進める。炭素系導電材に関しては、光還元条件や物理修飾・化学修飾による物性の調節を試みる。これらの検討を通じ、懸濁時の可視光水分解活性の向上を図る。 Zスキーム系の固定化に関しては、懸濁時と固定時の反応特性や活性支配要因の違いを明らかにし、水分解活性の維持に効果的な光触媒の固定化手法とその条件、基材の種類・表面処理等を検討する予定である。
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