研究課題
2021年度に確立したシロイヌナズナCKR遺伝子(At5g18860)のT-DNA挿入系統(2系統)をMGRL寒天培地上および土耕栽培で生育させ経時的に成長様式の観察を行った。その結果、野生型と比べ目視で確認できる大きな差異はなかった。このことは本研究グループが先行して行っているイネのCKR遺伝子(CPN1)の機能欠失型変異体の成長表現型と同様であった。また、この変異体および野生株に活性型サイトカイニン(トランスゼアチン)とリボシド型前駆体(トランスゼアチンリボシド)を投与した際のサイトカイニン誘導遺伝子マーカー遺伝子(A-タイプ レスポンスレギュレーター遺伝子)の発現誘導度合いを定量的に比較するための実験条件(処理濃度と処理時間)の検討を行った。さらにCKRの発現部位を調べるためにCKR遺伝子上流のプロモータ領域をレポーター遺伝子(GUS)に連結させたコンストラクトを作成した。CKR酵素タンパク質の生化学的特徴づけについては、メチロトローフ酵母Pichia pastoris内で発現系をpPICZaプラスミドを用いて構築、エレクトロポレーション法で導入し形質転換体を得た。
2: おおむね順調に進展している
CKR遺伝子機能欠失変異体の表現型解析のリソースを構築し基礎的データを習得できた。このリソースを用いることで最終年度に遺伝子機能の解析を十分に進めることができる。また、メチロトローフ酵母Pichia pastoris内での発現系も構築することができたことから生化学的な特徴づけも今後進むものと期待できる。
最終年度は、CKR遺伝子のT-DNA挿入系統を用いた表現型観察を、窒素栄養条件を変動させるなどのサイトカイニンリボシド型前駆体の濃度変動が予想される条件下での成長表現型観察を行う。また、植物体内のサイトカイニン内生量解析、ロゼット葉から採取したアポプラスト液中のサイトカイニン定量解析を行う。CKR酵素タンパク質の生化学的な特徴づけについては、メチロトローフ酵母Pichia pastorisでのCKR過剰発現系の構築が完成したことから、タンパク質発現と精製を行い基質特異性やKm値などの酵素学的パラメーターを明らかにする。これらの研究の進捗をみながら国際学会などでの成果発表を行う。
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Plant Cell Physiol.
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10.1093/pcp/pcac049
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https://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~ck/