近年、微小なプラスチック粒子による海洋汚染が世界的な規模の環境問題として注目を集めている。北海南部や東京湾で漁獲された魚からプラスチック粒子が見つかり、さらには市場で購入した魚の半数近くからプラスチックが発見された。これらのプラスチック粒子のうち5mm以下のプラスチックの多くは河川から海へ流出したプラスチック製品とされている。MPs は多くの微生物に分解されずに有害な疎水性の化学物質を吸着しやすいことから、生態系への影響が懸念されている。海洋MPsの実態を解明するためにはまずそれらを効率的に採取し、その種類を同定する必要がある。そこで本研究では,魚肉とプラスチックの蛍光指紋をまず計測し、そのデータから最適な励起波長・放射波長を選択することで、より迅速なプラスチック同定・可視化方法を提案し(受け入れ研究者担当)、その有効性を検証を行った。その結果、魚肉上では9種類、腸内容物上では4 種類のMPs を分離・同定することができた。4 種類は生産量の多いプラスチックであり、実用上は十分な制度を達成することができた。また、提案法は化学薬品による前処理を行わず、光学的な測定のみでMPsを分離・同定することができることから、現在用いられている赤外分光法よりも迅速な海洋プラスチック分析に貢献できると考える。
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