研究課題/領域番号 |
22F22099
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
受入研究者 |
木下 こづえ 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50724233)
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外国人特別研究員 |
POKHAREL SANJEETA 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-07-27 – 2025-03-31
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キーワード | アジアゾウ / 尻尾 / 安定同位体 / ホルモン / 食性解析 / ストレス生理学 |
研究実績の概要 |
本研究は2022年6月に開始した。主な目的は、飼育されている日本のアジアゾウにおける尻尾の毛の安定同位体とホルモン分析手法を確立させ、それらの分析結果から食性のヒストリーと生理機能の関係を遡及的に調査することである。初年度の2022年度は、日本の動物園における飼育個体からの尻尾の毛サンプルの採取のためのネットワークの構築に重点を置いた。国内の3つの動物園から計8頭のアジアゾウから毛サンプルを採取することができ、ゾウとの比較のため2頭のサイ、2頭のキリンからも毛サンプルを収集した。また、8から11ヶ月連続でアジアゾウの尻尾の毛の成長率も測定した。これらの毛の成長率に基づいて、一定期間ごとの同位体およびホルモン分析のために毛サンプルを処理した。そして、処理したサンプル毎に安定同位体比を分析した。なお、予備実験として、毛サンプルの洗浄溶剤の影響を確認した上で分析を実施した。食性変化を調べるため、主なターゲット同位体をδ15Nとδ13Cとした。今後はホルモン(特にストレスに関与しているとされているコルチゾール)濃度を測定し、安定同位体比変化とコルチゾール濃度変化との関連性を調べる予定である。また、直接的な実験成果に加えて、オーストラリアのアデレード大学を含むさまざまな研究機関で講演や会議に招待され、野生および飼育下アジアゾウのストレス生理学に関するプロジェクト成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分な数の尻尾の毛サンプルを収集でき、安定同位体比分析を完了するに至った。おおよそ研究計画通りであったが、ホルモン濃度測定がまだ未完了であるため上記区分の進捗状況とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した予備実験に基づいて、今後は各個体から2つの毛サンプルを採取し安定同位体の特徴を分析し、毛サンプル間で同位体値が類似しているかどうかを調べる。また、毛中ホルモン濃度測定を実施し、安定同位体比変化との関連性を明らかにする。さらに、サイとキリンの毛サンプルにも同様の実験を行い、動物種間の違いも考察する。
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