研究実績の概要 |
研究実施計画の実行のため、研究代表者(受入研究者)、研究分担者(外国人特別研究員)、研究代表者・研究分担者所属部局の研究員Benjamin Collas氏の3名によるセミナーと研究分担者、Collas氏の2名によるセミナーを交互に定期的に行い、研究の目的(A)準安定還元を与える体の数論の研究と(B)織田の問題と対称性を持つ曲線の研究に関する研究打合せ・研究討論を重点的に行った。
昨年度は、目的(B)に関する計画が、研究分担者とCollas氏の共同研究として大きく進展した。今年度は、この成果についての共著論文を完成し、成果発表を行った。具体的な研究実績としては、まず、目標(O.2.a)についてはほぼ達成することができた:非負整数g,rと巡回群Gに対し、M_{g,r}(G)を、(g,r)型双曲的曲線のモジュライ空間M_{g,r}の中でG対称性を持つ曲線のなす部分空間とする。M_{g,r}(G)の各既約成分に対し、曲線のG商を考えることにより、別のM_{g',r'}への射が生じる。この射を用いてM_{g,r}とM_{g',r'}の普遍モノドロミー表現や伊原塔を比較し、この文脈で織田の問題を定式化して解決した。また、目標(O.2.b)の前半部分についても達成することができた:伊原の問題「山=天」の相対版をM_{g,r}(G)の文脈で定式化できた。
また、今年度後半には、目的(A)に関する計画が進展し、具体的な研究実績としては、目標(0.1)を達成できた:数体上のアーベル多様体に対し、準安定還元を与えるようなガロア拡大の最小次数を決定した。
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