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2022 年度 実績報告書

カゴメ磁性体における新機能発現を目指したトポロジカル現象の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22F22016
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

中村 裕之  京都大学, 工学研究科, 教授 (00202218)

研究分担者 AHMED MOHAMED  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2022-09-28 – 2025-03-31
キーワードカゴメ格子 / 金属磁性体 / ScFe6Ge4
研究実績の概要

2次元カゴメ格子や3次元パイロクロア格子は代表的な幾何学的フラストレート格子であり,それらを磁性副格子として内包する金属磁性体ではトポロジーに起因する様々な異常現象が期待される.本研究では鉄やコバルト,マンガン等のカゴメ格子やパイロクロア格子を内包する金属磁性体を研究対象として取り上げ,その単結晶を育成し,それを用いて磁気特性,磁気伝導特性,バンド分散測定,スピン組織直接観測等を行い,さらに第一原理計算等を行い,トポロジーに起因する異常現象を発掘することを目的とする.今年度は特に二重カゴメ格子を内包する金属磁性体ScFe6Ge4で成果があった.ScFe6Ge4はLiFe6Ge4型の結晶構造をとり,そのFe副格子は,最近注目を集めているトポロジカル磁性体Fe3Sn2のFeサイトと結晶学的に等価である.先行研究では,ScFe6Ge4はキュリー温度491 Kの強磁性体であると報告されていたが,純良な試料を合成し磁性を測定したところ,実際には650 K付近に磁気転移点をもつ反強磁性体であることが判明した.また,転移点直下では逐次相転移の兆候が観測され,磁気状態が単純ではないことを示唆している.今後,単結晶育成法の開発に成功し,単結晶を用いた詳細な研究が進めば,この分野の発展に大きく貢献すると期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カゴメ格子金属磁性体の新物質を発掘できた.ScFe6Ge4 は最近注目されているカゴメ格子金属磁性体Fe3Sn2と同じFe副格子を持つ物質であるが,これまで強磁性体であると報告されていた.ところが純良試料を作製し磁性を測定したところ,磁気転移温度が650 K付近の反強磁性体であることが判明した.また,転移点直下では逐次相転移が観測され,磁気構造が単純でないことが示唆された.これまでの研究は多結晶を用いた研究であるため,今後の研究の発展のためには,単結晶の育成法を開発する必要がある.

今後の研究の推進方策

新たに開拓したカゴメ格子金属磁性体ScFe6Ge4については,今後単結晶の育成法を開発し,単結晶を用いた詳細な研究に移行する.磁気特性,磁気伝導特性,バンド分散測定,スピン組織直接観測等を行い,さらに第一原理計算等を行い,トポロジーに起因する異常現象を発掘する.それ以外にも特異な結晶構造を持ついくつかの系での物質探索を並行して行い,新物質を開拓する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] A new double-layered kagome antiferromagnet ScFe6Ge42023

    • 著者名/発表者名
      M. A. Kassem, K. Midori, Y. Tabata, T. Waki, H. Nakamura
    • 学会等名
      International Conference on Strongly Correlated Electron Systems 2023
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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