研究課題/領域番号 |
22F22034
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 教授 (90452276)
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研究分担者 |
BURKE DAVID 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-09-28 – 2025-03-31
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キーワード | 金属錯体多面体 / ソフトマテリアル / 共有結合性 / 光反応 |
研究実績の概要 |
ナノサイズ空間を有する分子である金属錯体多面体(MOP)を用い、自己集合化プロセスを制御することで、多孔性を有するソフトマテリアルを合成する研究は、空間機能と材料物性の相関という基礎的研究に加えて、空間材料のプロセ ッシングといった応用研究への展開にむけて大変重要である。これまでその階層構造の制御は配位結合形成を伴う自己集合化プロセスに依存していた。本研究では、クマリン二量化を用いた光駆動の共有結合形成を用いることで、MOPの超分子重合によるコロイド粒子形成、コロイド粒子の自己集合化によるコロイドネットワーク形成( ゲル化)という2つの集合過程を独立して制御可能な段階的自己集合化を達成する。 この手法により、(1)光刺激による可逆的ゾル―ゲル転移、(2)光駆動によるゲルの力学特性制御、(3)共有結合性錯体ソフトマテリアルの創成を行い、光でゲル化や物性変換可能な新しい多孔性ゲルの創成を行う。 初年度は、課題A:「クマリン官能基を有する新規MOPと多孔性ゲルの合成」を行った。イソフタル酸誘導体と酢酸ロジウムから組み上がる立方八面体構造MOPを基盤とした 。まずイソフタル酸の5位にクマリン分子を結合した誘導体を合成し、酢酸ロジウムとの反応により立方八面体MOPを構築した。NMRおよび動的光散乱測定によりその構造同定を行った。光照射後、ゲル化しなかった。その理由としては、光反応収率が低いためであると考えた。次に、このMOPをリンカー配位子を用いて配位結合により集積しゲル化させた後、光照射によるクマリンの連結を行った。その結果、リンカー配位子を取り除いてもゲル状態が維持された。クマリンの連結による共有結合性の錯体ソフトマテリアルが合成されたことを示唆している。今後はその詳細な解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、クマリン部位を有する金属錯体多面体の合成に成功した。また、様々な条件下においてゲル化を試し、共有結合性の錯体ソフトマテリアルの合成に成功したことを示唆した結果を得た。今後は詳細な解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
得られたゲルが実際どのような結合様式において、連結されているのか。また、光刺激により可逆的にゾルへと戻すことができるのか、など詳細な解析を行う。また、他のトポロジー構造をもつ金属錯体多面体へと展開する。
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