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2023 年度 実施状況報告書

CO2からの直接燃料再生を志向した酵素型錯体ー官能基化シリカ複合触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KF0217
配分区分基金
研究機関京都大学

研究代表者

大木 靖弘  京都大学, 化学研究所, 教授 (10324394)

研究分担者 JAYAKUMAR SANJEEVI  京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード鉄 / 硫黄 / クラスター / 炭素固定 / シリカ
研究実績の概要

ビピリジン(bpy)基を空孔表面に規則配列させたメソポーラス有機シリカ(以下PMO、富士フィルム和光純薬製)を担体として、鉄硫黄クラスター錯体Fe4S4(STip)2(tmtu)2 (Tip = 2,4,6-iPr3C6H2, tmtu = tetramethyl-thiourea)をbpy比10-15%程度担持した。
本継続研究では、まずこの複合体の同定を進めた。担持前後でクラスター錯体のXPS測定(Fe 2p、N 1s、S 2p)を行い、Feの酸化状態に変化がないことと、担持後のサンプルがtmtu由来のN 1sピークを与えることを確認した。さらに詳細に解析し、PMOに含まれるビピリジン窒素のN 1sピークと、tmtu由来のピークのbinding energyがほぼ一致することが判明した。またS 2pピークは、tmtuだけでなくFe4S4骨格やSTip由来のS 2p1/2やS 2p2/3ピークとの重なりとして観測された。これらのピークを線形解析により各成分に分離して比を求めたところ、元素分析から予想されるN, Sの相対比と一致した。これらのデータは、用いた前駆体Fe4S4(STip)2(tmtu)2のtmtuの1つがPMOのビピリジン部位と置換した場合の計算値と矛盾しない。
高エネ研のビームラインを用い、本研究で調製した複合体のX線吸収分光測定も実施した。クラスター錯体のFe-K edge吸収は固定化前後でほぼ変化がなく、錯体がPMOへの固定化後も構造を維持していることが示唆された。
以上の解析結果から、当初想定通りにPMOとクラスター錯体の複合化が起こることが支持される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビピリジン基で官能基化したシリカ表面への鉄硫黄クラスター錯体の固定化が当初想定通りに起こることが、各種測定データにより支持された。本研究で調製した複合体は、現時点ではCO2の還元活性をほとんど示さないことが問題として残るため、反応条件や鉄硫黄クラスター以外の錯体との共担持による解決を試みる。

今後の研究の推進方策

現時点の問題はCO2還元活性がほとんどないことであり、この点を解決するための検討を進める。担体となるPMOは市販品が製造中止になり、バリエーションも一種類しかないことから、今後は主に担持する錯体側を工夫する。鉄硫黄クラスター錯体は担持の有無に関わらずCO2の還元活性が低くCOから炭化水素への還元活性を示すことから、CO2からCOへの還元を担う錯体触媒の共担持を試みる。特に、ビピリジンを配位させたレニウム-カルボニル錯体をPMO内部で調製し、レニウム錯体によるCO2からCOへの還元と、鉄硫黄クラスター錯体によるCOから炭化水素への還元を組み合わせ、タンデム反応化を検討する。

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公開日: 2024-12-25  

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