研究課題/領域番号 |
22KF0228
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹中 瑞樹 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10796163)
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研究分担者 |
SCHATZ-DAAS DEBORAH 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | RNA編集 / ミトコンドリア / 葉緑体 / タンパク質相互作用 |
研究実績の概要 |
C-to-U RNA編集はRNA上の特定のシチジンがウリジンに変換されるもので、植物オルガネラの正常な遺伝子発現の為に必要不可欠である。顕花植物では、RNA編集反応は複合体によりなされる。これまで様々なタンパク質がRNA 複合体の構成因子として単離されてきた。しかし、これまで活性をもつRNA編集複合体の再現には至っていない。本研究の目的は、タンパク質免疫沈降(CoIP)またはTurboID法を用いて既知のRNA編集因子と相互作用するタンパク質を網羅的に同定することで、新規RNA編集複合体の構成因子を単離する。またこれらを用いて活性をもつRNA編集複合体の再構築を目指す。当該年度の研究実績について記述する。 1)RNA編集酵素であるDYWドメインをもつPPRタンパク質と相互作用するタンパク質を同定するために、これらにHA-tagとビオチン化酵素TurboIDを付与したタンパク質をクローニングし、植物体へ形質転換した。具体的には葉緑体、ミトコンドリアで150ヶ所以上のRNA編集部位に関与するDYW2と、ミトコンドリアで複数のRNA編集部位に関与するMEF1,MEF11,MEF22 を用いた。C末端側にタグを付与した場合、酵素活性が失われるため、HA-tagとビオチン化酵素はN末端側に付与した。DYW2は葉緑体、ミトコンドリアで異なる複合体を形成していると考えられるため、両オルガネラの局在配列の下流にそれぞれクローニングした。 2)植物に形質転換したタンパク質の発現をウェスタンブロット解析により確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初作成に使用予定であったベクターを改良する必要があったため、クローニングに時間がかかったが、その後のクローニングは極めて効率よく行われたため、当初の予定にほぼ匹敵する速さで研究が進展している。コントロールとなる、HA-tagとビオチン化酵素のみを発現させた植物体を作成し、その発現をウェスタン解析により確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアおよび葉緑体内でDYWタンパク質と近接するタンパク質をビオチン化するために必要なビオチン濃度の最適化を行っている。最適化終了後、植物体よりタンパク質を単離、精製し、質量分析によりビオチン化されたタンパク質を同定する。また並行してHA-tagを用いた免疫沈降法をおこなう。またC末端にタグを付与したタンパク質もクローニングし、N末端にタグを付与した場合とのその違いを比較する。これらの手法を総合的に用いて顕花植物におけるRNA編集複合体に含まれるタンパク質の網羅的な同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度分の繰越分でクローニング費用をまかなった。最も費用がかかる質量分析について重点的に今年度に使用する予定である。
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