研究課題/領域番号 |
22F22094
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古賀 大尚 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30634539)
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研究分担者 |
ZHU LUTING 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | TEMPO酸化セルロース / 異方性マイクロ流路構造 / アルミニウムイオン架橋 / 湿気発電 / CO2レーザー炭化 |
研究実績の概要 |
SDGsへの意識の高まりから、持続生産可能なデバイス開発の重要性が増している。そこで本研究では、地球上で最も豊富かつ持続生産可能なバイオマス資源であるセルロースベースのデバイス開発に取り組む。すなわち、研究代表者者が有する「セルロース基材へのCO2レーザー照射による炭化および電気特性制御技術」と研究分担者が有する「セルロース基材へのマイクロ流路設計技術」を組み合わせることにより、オールセルロースベースの持続性電子・流体デバイスの創出を目指す。 2022年度は、まず、TEMPO酸化セルロース基材へのCO2レーザー照射炭化、および、得られたレーザー炭化セルロースの化学構造・電気伝導性分析を行った。CO2レーザー照射条件によって、化学構造と電気伝導性を細かく制御できることを確認した。次に、ハニカム様の異方性マイクロ流路構造を持つTEMPO酸化セルロース基材を調製し、湿気発電デバイス素子としての性能を評価した。異方性マイクロ流路構造の異方的な水蒸気輸送特性、および、TEMPO酸化セルロースの陽イオン捕捉特性を利用し、流路構造内で陽イオンと陰イオンの濃度勾配を形成させることで、電圧差が生じ、発電できることが確認できた。また、元々のTEMPO酸化セルロース基材は水に対する耐久性が低く、水蒸気に晒すと異方性マイクロ流路構造が失われたが、アルミニウムイオン架橋処理を行うことによって、この問題を解決することができた。セルロースと水蒸気を用いて発電可能な持続性電子・流体デバイスとして、さらなる研究開発に期待が持たれる。 得られた研究成果については、国内学会での発表を2件(いずれも口頭発表)行った。また現在、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大目標であるセルロースベースの持続性電子・流体デバイスの創出に向け、そのプロトタイプとなる湿気発電デバイスを作製することができた。よって、概ね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、TEMPO酸化セルロース基材へのCO2レーザー炭化による化学構造・電気特性制御を行うことにより、湿気発電デバイスのさらなる機能向上を図る。また、汗成分や光などのセンシング機能も広く検証する。
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